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□その人魚、過去(上)
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『10年前の夏、私はお祖父様を訪ねて海に向かったのは知ってるでしょう?』
ス「その日だったな。ルナが消えたのは」
『うん…。少し、長くなるね』
その日、お祖父様に会った後に岩場で休憩していたの。
そしたら、急に網が飛んで来て、咄嗟に海に入ろうとしたら、思いっきり網を引かれて捕まったの。
「御伽噺の世界だけかと思っていたぜ…」
「本当にいるんだな!!」
そんな会話をしながら、私を傷つけないように船の部屋の中に運んだ
この時、あぁ、売られるか殺されるって思ったの
案の定
大きな一発の銃声が聞こえて目を瞑ったけど、痛みは一切なくて。その代わり、目の前は真っ赤な血飛沫。
殺されたの相手の部下だったみたいで
立てない私の横にドサッと重たい音を立てて死体が倒れた
そして私の視界の奥に、テレビでよく見る政治家が座って、私を歓喜の目で見つめてきたわ
政治家「手荒な真似をしてすまないね!如何しても君を欲しくなったんだ!人魚の存在はその所有者に富を与えるからね!」