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□君と水泡隠れ
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幼い頃からずっと一緒で、隣にいるのが当たり前の相手・・・

真琴は昔から遙の事が大好きだった。
そして、遙も昔から隣に選ぶのはいつも決まって真琴だった。
その事が真琴はいつもとても誇らしくて嬉しかった。

遙は自分では気が付いていないのだろうが、
昔から他人の目を妙に惹く存在だった。
遙が泳げば、普段は遙の事を敬遠している様な相手でも、
その綺麗な泳ぎに目を奪われていた。
水をこよなく愛し、水と戯れるように泳ぐ遙は
正に人を虜にする人魚のようだった。

遙は泳いでいれば幸せで、他の感情など水の中に持ち込みたくないように、
いつも水の中では無心でいたように真琴には見えていた。
そう、遙が凛と出会うまでは・・・

・・・・ハルの感情を揺さぶるのは今でも凛だけか

真琴は、そんな事をぼんやりと思いため息を一つ吐いた。
「・・・真琴 どうした? 珍しいな・・ため息」
「!! あっ ハル」
いつの間にか隣に座っていた遙は、真琴の顔をじっと覗きこんできた。
「何か悩みごとか?」
「えっ・・・いや・・・何でもない・・・
暑くてボーっとしてただけ」
「・・・・・・・・・・」
いぶかしげに自分を見つめる遙を誤魔化すように、
真琴は一緒に立ち上がるように遙に手を差し伸べた。
「暑いし、早くプールに練習しに行こう ハル」
無理矢理に立ち上がり、歩きだそうとしていた真琴の腕を
逆に遙は力任せに引っ張り、元の場所に座らせる。
「・・・ハル?」
「真琴・・・何で泣きそうな顔してる・・・」
「・・・えっ?」
「誤魔化すな ちゃんと話せ」

真琴を心配して、遙は気持ちを読み取ろうと
視線を合わせようとするが、
真琴はその視線を避けるように下を向く。
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