クロスオーバー
□お前のことが好きだから
1ページ/2ページ
[キューティクル探偵因幡 荻因サイド]
事件現場には遠巻きに野次馬が集まり始めている。
その中に、妙に人目を惹く二人組の男がいた。
二人ともかなりの長身だ。
そして一人の奴はやたらととイケメンで、しかもフェロモンが尋常ではない。
さっきから、こっちを気にしていた野次馬の女のかなりの人数がチラチラとそいつを見ている。
でも、俺はそいつの方はどうでもいい・・・
・・・いや、そいつもフワフワの髪でかなり触ってみたい感じだ。
だけど俺は興奮気味にもう一人の男を凝視し、ブツブツと呟いた。
「あ、あいつ・・・ 絶対に荻に髪質が似ている・・・ いや、荻よりは柔らかいかな・・・ そ、それでも・・・」
「触りたい!!! 舐め回して確認したい!!!」
つい興奮して大声で、しかも指差しまでしてしまった。」
まずいと思ったがもう遅い・・・
言われた本人は、他に気をとられていたのか気がつかなかったみたいだが、
連れの男が、不愉快丸出しの表情でこちらを睨みつけてきた。
警察組織の中に長い間いた俺でも結構びびる迫力だ・・・
・・・そして、そいつは荻に似た髪質の男の腕を取り足早にその場から立ち去ってしまった。
未練がましく見送っていると、その時ゴツンと頭上に拳が落とされた。
「洋・・・お前、一般人に誤解を与えること言うな きっと変質者だと思われたぞ」
「お前がなかなか触らせねーからだろ! 俺はもう禁断症状で、荻に似た髪質の奴を見ると触りたくて仕方ないんだ!!」
「・・・・・」
「だいたいこの前だって 一日、好きにさせてくれるって言ってたのに 結局誤魔化しやがって!!
いいか!今日誤魔化して触らせなかったら、二度とヤギ以外の事件は捜査協力しないからな!!!」
睨みつけると、荻は諦めたように深くため息をつく
それを聞いた俺は、今日はいけそうだと嬉しさを隠せない。
「心配すんな!セットがどれだけ乱れても 俺が後で完璧に直してやるからな〜!!!
そうと決まれば さっさと犯人を捕まえて家に帰るぞ〜!!」
久々に荻の髪に触れられると思うと浮き立つ気持ちが抑えられない。
弾む俺の足取りを邪魔するように、後ろから聞こえる荻のしつこいまでのため息が耳に心地よく響く。
俺は満面の笑みで振り返る。
「荻、ため息つくと幸せが逃げるんだぞ あきらめてたまには、大切な相棒にサービスしやがれ!」
「・・・はぁぁ・・・・・・」
返ってきたのはやはり大きなため息だけだった。