キューティクル探偵因幡

□Happy Bithday!
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「因幡さん! おめでとう!!」
「先生!僕ケーキ焼いてきました!」

クラッカーの派手な音が辺りに鳴り響いている。
今日は洋の誕生日。
たくさんの人が洋を祝う為に、事務所に集まっている。

「洋〜!! 相変わらず可愛いな〜!!!!」
「うぜーぞ!緒方!いちいち触るな!抱きつくな!!」
「あっ!そうだ・・・ 因幡さん!さっき遥から預ってたんだ!
はい!プレゼントだって!!」
渡された真っ白な花束に洋は首を捻る。
「?・・何で圭に託したんだ? 
直接に会って渡してくれれば嬉しいのに・・」
「さぁ? 一応、犯罪者集団の人間と本人が探偵でしかも相棒が刑事の人だから?・・・」
圭も理由が良く分からず、首を一緒に捻っている。
「ちぇー 寂しいなー 荻も来ねーし・・・」
「仕方ないですよ 荻さん仕事じゃん」
「・・・・・・・そうだな」

寂しさを紛らわすように、明るく集まってくれた皆に声をかける。
「よーし!! 飲んで、食って、楽しむぞー!!!」
その後、もう飲めないくらい飲んで、歌って、騒いで夜が耽ていく。

日付が変わり、洋以外の皆は潰れて眠っていたり、
家に帰ってしまい、洋はポツリと一人でいる。

・・・皆と騒ぐのは とても楽しい
自分はたくさんの人に好かれ、愛されていると実感できる・・・
・・・でも、今日くらい会いたかったな・・・
・・・遥にも
・・・そして ・・・荻にも

思いを巡らせていると、不意に予感がして、
事務所のドアまで急いで歩いていく。

ガチャリと事務所のドアが開き、
会いたかった内の一人が、苦笑して入ってくる。
「相変わらず良く分かるな・・・ 何で俺が来るのが分かるんだ?」
「荻 第一声がそれか? まったくお前は・・」
嬉しくて 嬉しくて・・・
笑って出迎える。

・・・来てくれた

「悪いな 4日の内に来れなくて・・・ これでも急いだんだが・・・
誕生日おめでとう 洋
お前がこの世に生まれてきてくれた事、嬉しいよ」
ニコリと笑われ、洋はこんなセリフを荻が言うとは思ってもいなくて真っ赤になってしまう。
「!!!!何だよ! 本当はお前!実は天然のタラシじゃないのか?!」
「? ・・俺はそんな事言われた事ないぞ 
それより欲しい物は何かあるか?
忙しくて何も買ってないけど、欲しいものあるなら後でプレゼントするぞ」
その言葉に洋は首を横に振る。

「お前が来てくれたから・・・・ 別にいらない・・」
・・・今日は俺の誕生日だし・・・ これくらいは許してくれ・・

洋は酔ったふりをして荻に抱き付き、目をゆっくりと閉じた。

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