キューティクル探偵因幡

□大切な君といつまでも
1ページ/2ページ

「ゆずき〜」
「ステラ〜!!!」

泣きそうになって不安そうなステラは緒方に助けを求め縋り付き、
そんなステラを緒方は守るように抱きしめている。

「お前達は悪魔か! 俺達を引き離そうとするなんて!!」
「・・・・決まり、ですから・・・・・」
対する医療スタッフも、一歩も引くつもりはなさそうだ

「ステラちゃん 怖い事なんて全然ないよー 二泊三日の健康診断なんて」
ステラを囲んで職員達は、ステラを怖がらせないようにニコニコと笑顔を見せて対応している
それでもステラの不安は拭えないようで、緒方の服をギュッと掴んで離そうとはしない
「せめて付いててあげてもいいだろ?」
「・・・ダメです だいたい緒方さん仕事は? 
こんな所にいていいんですか? 俺達が怒られるじゃないですか
ステラの事は俺達に任せて仕事に戻ってください!」

「う〜 ゆずきぃ〜」
・・・あっ 目が潤んでる

その時、ノックの音の後ドアが開く

「ステラ!」
「あっ ひろにい!」 「洋!!!」
「ステラ 健康診断が嫌なんだって?  こんなの全然怖くないぞ〜
逆に訓練がサボれて楽だけどな〜」

「・・・それにな〜」
洋はニヤリとステラに笑顔を向ける
「検査が終わったら これ御褒美だってさ! ほら」
洋はそう言うとケーキの箱を開けて中を見せている
「あっ!このケーキ!! テレビで見た!」
「うん! 予約しないと食えないケーキだぞ〜」

潤んでいたステラの目がキラキラに変わってる・・・
「うん! ひろにい がんばるね!」
「おう!がんばれっ!」

あ〜ステラが洋に丸め込まれてしまった・・・

仕方なく洋と二人で部屋を出て行こうとすると、ステラが声を掛けてくる
「ゆずき・・・ 終わったらむかえにきてね」
まだ、少し不安そうだが、がんばって笑っているようだ・・・

「ステラ〜! 必ず迎えに来るからな〜!!」
抱きしめに戻ろうとするが声がかかる
「ほら!行くぞ 緒方」
可愛くて離れたくはないが、洋に声を掛けられ仕方なく医療室から出て行く


「それにしても洋〜!!!! 俺に会いに来てくれたのか!?」
「うざい! 抱きつくな!! それにお前にわざわざ会いになんて来るわけないだろ!
圭と優太がインフルエンザでダウンしてて、一人で暇だったから暇つぶしに荻に電話したら
暇ならこっちに来いって言われて来たら、お前の部下にケーキ持たされて 
ここに行って説得してくれって頼まれたんだよ」
「そうなの?」
「お前が仕事放ってステラから離れないって・・・ お前の部下が荻に泣きついたみたいだぞ」

・・・・どいつだっ?! 俺の邪魔をしてステラと引き離したのは〜!


・・・それよりも!!! 今は洋だ〜!!!
「洋!お昼がまだなら〜・・・」
そう言いかけた緒方の言葉は最後まで言わせては貰えなかった・・・

「あっ!」
洋がピクリと反応して廊下の角に向かって足早に進んで行く

「荻!」
「おっ 洋 説得は終わったのか?」
「ああ 俺に掛かればこんなのちょろいぜ!」
「・・そうか ごくろうさま」
荻はそう言って洋の頭を撫でている
それに洋は、もの凄く嬉しそうな笑顔を荻に返している

あ〜!!! 可愛いな洋〜!!!!
あんな顔、俺には向けてくれないのに・・・
・・・いや、俺だけじゃなく署内であの顔を向けられるのは荻だけだ・・・

・・・なんでだ???
俺だって洋の事は大好きなのに〜

洋は俺と組んでいた短い期間の時も、うざいとか近寄るなとか嫌そうな顔ばかり向けてきた・・
そしてそれは洋の弟の遥も俺に対してそうだった・・・

・・・なにがいけないんだ?

・・・そうだ!!これはいいチャンスだ!
この二人は洋が警察犬を辞めた今でも、お互いを相棒と言って憚らないほど良い関係がそのまま続いているのだ
これからの俺とステラの未来の為に、この二人を今日はこっそり観察して今後の参考にするぞ〜!!!

俺はずっとステラと仲良くしていたいんだ〜!!!!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ