世界一初恋

□反省クマさん奮闘記録(舞い散る花びら後日譚)
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2週間も失踪騒ぎを起こしてしまった横澤は、
まず日和の元へ向かう事にした。
自分が連絡にも答えずにいた事が、彼女をとても悲しませ
あまつさえ泣かせてしまっていたなんて・・・
いくら自暴自棄になっていて、全てを投げ捨ててしまおうと思っていたとはいえ
今まで家族同然の対応をして、自分を暖かく迎え入れてくれていた日和に
何も言わずに姿を消してしまった事は、どう謝っても謝りきれない気がする。
・・・それでも 謝罪しなくては ・・・自分にはそれしか出来ない

桐嶋と二人で、桐嶋宅に向かう途中、
日和が好きなケーキ屋で足がふと止まり、
日和に似合いそうなシュシュやリボンを見かけては、横澤の足がたびたび止まる。
「・・・お前そんなので釣ろうとしたら、益々ひよは悲しむぞ」
「分かってるよ! だから買ってねーだろ」
謝るだけしかないと思ってはいるが、つい目がそちらにいってしまうのはしかたないだろう。
元々、日和におみやげを買ったりするのも、彼女の喜ぶ顔を見るのが横澤の密かな楽しみで
歩いている時に、日和の好きそうなものを目で探してしまうのは最近の癖みたいなものだ。

横澤は、少しでも早く日和に会って謝りたい気持ちの反面、
どう謝罪すればとの気持ちで、たびたび足が多少重く感じてしまっていた。

やっと桐嶋宅に辿りつき、桐嶋が玄関のドアの鍵を開けドアノブに手をかけ
ドアを開けようとすると、隙間からソラ太が飛び出してきて
横澤の足元に擦り寄ってきて、横澤を見上げ聞いた事のない鳴き声を上げた。
「・・・・ソラ太」
「ソラちゃん! どうしたの?」
慌てて出てきた日和は、横澤を見つけて大きな瞳をさらに見開いて横澤に駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん!」
必死に横澤にしがみ付き泣き出してしまった日和を
横澤も抱きしめ返した。
「ごめん・・・ ごめんな、ひよ・・・」
こんなに心配してくれていたんだと
横澤の目にも自然と込み上げてきてしまった
「しんぱっっ 心配してたんだよ! パパが絶対に探してみせるって言ってたけど
っでも もしかしたらって・・もう会えないかもって ・・そう思って うっ・・・」
「ひよ・・・・」
「ひよ、とりあえず家に入ろうな 話はそれからだ」
桐嶋に肩を抱かれ、それでも日和は心配なのか横澤の手をギュっと握ってきた。
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