世界一初恋

□癒しをもたらすのは、いつだって
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届けられた荷物を見て、桐嶋は首をひねる。
・・・? なんだこれ・・・・

手にした矢鱈と大きい筒に貼られた荷札の送り主を見て、
疑問は更に大きくなるが、念のため資料室に入り鍵をかけて中を確認する。
「・・・・・・・な、なに考えてこんなサイズ」
唖然としつつ、これは他の奴等に見せないようにと心に決めて
何食わぬ顔をして席に戻り、仕事を続けると早速声が掛かる。
「編集長 これチェックお願いします」
「おお そこ置いとけ」
原稿を置いて、立ち去り際に部下は更に一言かけてくる。
「ところで そのでかい筒なんですか? ポスターの付録とかなかったですよね? 店頭用ですか?」
「あっ、俺も気になってたました ポスターにしてもかなり大きいですよね」

・・・・う 早速きたか
わらわらと集まってきそうな雰囲気に苦しい返事を返す。
「うちのじゃねーから 気にすんな」
「えっ?どこかの紛れてたんですか? 俺が届けてきましょうか?
桐嶋さん忙しいでしょ?」
「いや さっき連絡したからそのうち取りにくるよ」
・・・・・あー くそっ矢鱈と注目浴びてんなー これ・・・
時計を見るも退社時間まであと3時間もある。
・・・どうやって切り抜けるかなー この後会議が入ってて席を空けなくてはならないし
さすがに俺にきた荷物をかってに開けて中を見るような奴はいないが、
問題はこれが筒状だってことだ。
ちょっとぶつかれば、転がってあて先が桐嶋だって判るし、
送ってきた相手も見えてしまう。
そして見てしまえばきっと興味津々に質問してきて中を見せろと強請ってくる気がする・・・

考えあぐねて、桐嶋は内線で横澤を呼び出す。
営業部につながり、しばらく待つと電話口に横澤が出る。
「はい 横澤です」
「横澤 今、仕事どうなってる? ちょっと今、時間とれるか?」
「えっ? どの仕事だ? なんか問題がおきたのか?」
「いや そうじゃないんだ お前が時間に余裕があるなら
ちょっと協力して欲しいんだけど こっちにこられそうか?」
「あ? ああ 今日に終わらせときたい仕事はほぼ片付いてるから平気だけど」
「そっか 相変わらず仕事が速くて助かるよ じゃあ頼むな」

受話器を置いてその後、かなり急いでくれたのか
わずか数分で横澤は来てくれた。
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