ひとりぼっちのお姫様。
□少女の背中の大きな荷物
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応接室に通された吠舞羅メンバーは一斉に肩の力を抜いた。
内装までもが豪華だったので体が強ばってしまったのだ。
小太郎は無邪気にソファに寝転んで足をパタパタと動かしていた。
その様子を見た出雲は疲れたように声をかけた。
出雲「…ここ、みちるちゃんの実家なんか?」
猿比古「父親の実家らしいっすよ。あと面倒な方だとも言ってました。」
千歳「で、椿ちゃんはどこ?」
猿比古「こたろ。親族会あんの?」
小太郎「昨日すっごい苦々しい表情してたから多分ー。」
猿比古「当分戻ってこねぇな、それ。」
呆れたようなため息をついた猿比古は部屋に置いてある本棚を勝手に漁っていた。
戻ってきた南雲は苦笑しながら小太郎を抱き上げてきちんと座らせた。
クリクリとした瞳で南雲を見上げた小太郎は頭を撫でる大きめの手に目を細めた。
南雲「仕度が出来ましたのでご案内します。どうぞこちらへ。」
猿比古「南雲さん、美咲は?」
南雲「さぁ、其の辺を歩き回っているんじゃないですか?」
からかうような口調で答えた南雲は屋敷を出てまっすぐ中庭へ向かった。
途中でなにやら騒がしい席があり、問いかけると親族会の会場だという。
見つからないようこっそりと移動していると、早くも酔っている男性に見つかってしまった。
男「おい兄ちゃん達、お前ら誰だぁ?」
南雲「こちらはお嬢様のご友人の方々です。屋敷内をご案内しているところですので、これで。」
男「ハッ!俺はあの小娘が当主代理なんて認めてねぇからよぉ、知ったこっちゃねぇなぁ!!」
南雲「…席にお戻りください。」
男「お、可愛いなぁ、坊主。こっちでおじちゃんと遊ぶか?」
酔っ払いは下品な表情を浮かべて小太郎に絡んできた。
眉をしかめて猿比古の背に隠れるが、酔っぱらいは腕を掴んできた。
みちるの実家ということもあってあまり大事にはしたくないが、これ以上しつこいと周りが切れそうだった。
その時、凛として涼やかな声が響いた。