ひとりぼっちのお姫様。
□改めまして、よろしくお願いします。
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ぼーっと出雲の姿を見ていた美咲だが、一瞬で目を覚ました。
そして自分たちの行動を思い返し赤面した。
出雲「…八田ちゃ『うわああああああ!!!』…。」
声をかけようとした出雲だが名前を呼んだ瞬間美咲は叫び声を上げて布団をかぶった。
それが聞こえたのか尊とアンナがやってきた。
ベッドの上の塊と、塊の横に座っているみちると、固まったままの出雲を見て尊は呆れた。
尊「…草薙、お前何した。」
出雲「いや、何もしてへん…むしろ八田ちゃんとみちるちゃんが……ああぁ…。」
尊「椿、お前何した…寝てんのか?」
みちる「…みさきちゃ、ねるー…?ぼくもねるぅ……。」
美咲「うるさいうるさい!今話しかけんなッ///ああぁぁぁ……。」
みちる「…美咲ちゃん、……みーさーきーちゃぁーんっ!」
ますます塊と化した美咲は未だにうなっていた。
その状態を見てようやく覚醒したみちるは、毛布をグイグイと引っ張り始めた。
名前を呼びながら駄々をこねるようにしていると、美咲は観念したように右手を差し出した。
みちるはその手を握り、勢いよく引っ張った。
突然のことに思考がついて行かず、驚いた表情のまま美咲が出てきた。
美咲の姿を黙認したみちるは満面の笑みを浮かべた。
みちる「美咲ちゃん、おはよう。」
美咲「……おはよう。」
出雲「…さーご飯にしよかー。」
ほんのりと漂い始めた甘酸っぱい雰囲気を壊すかのように出雲は声をかけた。
案の定美咲はまたワタワタとし始め、みちるは美咲の胴に腕を巻き付けてピッタリとくっついている。
尊はあくびをしながらアンナの手を引き、さっさとその場から立ち去った。
出雲「はい、八田ちゃんとみちるちゃんも準備しいやー。皆でご飯食べるっちゅーのがうちに泊まった時の決まりや!」
みちる「……みんなで、」
美咲「みち、とりあえず離せ。「やだ。」…よし分かったこれから飯作ってやんねー。」
みちる「……いけず。」
美咲「何とでも言いやがれ、朝は忙しいんだ。」
涙目で睨むみちるの相手をせず、美咲は靴を履き上着を手にとった。
不貞腐れたように荒々しく靴を履いたみちるはそのまま出ていこうとして、場所が分からずに立ち止まった。
みちる「どっち?」
美咲「こっち。草薙さん、今日のメニューなんすか?」
出雲「スクランブルエッグとサラダとスープや。…ほんまに付き合っとらんの?」
先程からのやり取りを見ていた出雲には、逆に付き合っていないことが不思議だった。
疑問を口にした出雲にみちるは冷め切った目を向けて言い放った。
みちる「付き合ってませんけど、変な野次馬精神で首を突っ込むの止めてもらえます?」