ひとりぼっちのお姫様。

□Mother's Day -Thank you for my mother!!-
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いつも通りリビングに寝転びながらテレビを眺めていた小太郎は何気なく流れた言葉で体を起こした。

軽く目を見開きながらそれを見つめ、カレンダーを見て慌てて着替え始めた。

身支度を済ませセキュリティシステムを作動させるとバーの居住スペースに転移し、バタバタと階段を駆け降りた。

そして目当ての2人の手をつかみ、叫ぶように言った。


小太郎「どうしよう、来週の日曜日、母の日だって!!!!」


  〜 Mother's Day 〜
      -Thank you for my mother!!-


みちる「うん、知ってる。」

 美咲「それがどうかしたか?」

小太郎「〜〜〜〜っ、だから、そろそろお母さんに近況報告しないと!!」

 美咲「……いや、そもそも俺とお前家出状態だから。」

みちる「僕なんかこっちに居る事自体知らせてないし…。」

み・美『『ねぇ?』』

小太郎「それでもーっ!!お母さんに何かするの――ッッ!!」

地団駄を踏みながらみちるの肩を揺する小太郎の姿に、困ったような視線を美咲に送った。

少し考え込んだ美咲は端末を操作し、目的のページを小太郎に突きつけた。

『配達予定日』と書かれたそれは実家までの時間を示していた。

食い入るようにそれを見つめる小太郎に畳み掛けるように問いかける。


 美咲「最低でもこれだけかかる。その間に用意しろ。いいな?」

小太郎「うんっ!!」

みちる「……何あげるの?」

小太郎「のーぷらん!!」

 美咲「お前の事だ、テレビとか見てすっ飛んできたんだろ。」

小太郎「に、兄さんエスパー!?」

 美咲「いや、単純にお前の性格から。」

小太郎「あ、そっかー。」


えへへ〜と照れたように笑った小太郎は買い物リストを作っていた坂東の膝に乗り上げた。

メモ用紙を一枚受け取ると、悩みながら候補を書き上げていった。

それを覗き込みながらメンバーもいくつかの候補を出してゆく。


 赤城「俺は家の手伝いを妹とやったよー。」

 坂東「エプロンとか箸とか、普段使ってるものを贈ったな。」

 千歳「いつもありがとう、って言葉と花束かな。」

 出羽「んー、晩飯作った。」

 鎌本「家の手伝いしてたなー、親父の腰も悪くなってきてたし。」

 藤島「ちょっとした旅行を手配したな。電車で行ける範囲の温泉でゆっくり出来るように。」

小太郎「お、おおう……。」


出雲や尊が見守る中、話を聞き終えた小太郎は泣きそうな顔で兄のもとに走った。

体当たりをかますほどの勢いで抱きついた弟を叱るでもなく、顔を覗き込んだ美咲はとりあえず頭を撫でた。

狼狽えたままの小太郎はぐりぐりと美咲の胸に頭をこすりつけた。

…悲しいかな、もうすぐ二十になる美咲と中学2年の小太郎の身長差は僅か9センチしかない。

しかしそれすらもどうでもいいと言わんばかりに小太郎は涙目で兄を見上げる。


 
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