ひとりぼっちのお姫様。

□ミニマム・パニック!
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目を覚ました美咲は胸の中にある物体を見てやっぱり、と思った。

音を立てないようゆっくりと体を起こしクローゼットの中から洋服を取り出す。

それを枕元に置き、メモ帳に平仮名多めの伝言を書き付けた。

分かりやすい様に洋服の上に乗せると、いつも通り朝食の用意をしにリビングへ向かった。



      *ミニマム・パニック!*



赤城は鼻歌を歌いながらバーに向かっていた。

というのも、みちるの好きなお菓子が安く大量に手に入ったのだ。

これをあげたらきっと喜ぶだろうなぁ…と普段笑わない彼女の笑顔を想像しながらバーの扉を開いた。

中には出雲と鎌本、それに尊と坂東と小太郎の姿があった。


 赤城「こんにちはー!」

 出雲「お、おお。いらっしゃい。」

 赤城「…草薙さん、何かありました?」

 出雲「いや…あったっちゅうか、なぁ……?」

 鎌本「ねぇ……?」


微妙な顔で目配せをするメンバーに赤城は首をひねり、そして深緑色の髪を探した。

小太郎がいるという事はみちるもいる確率が高いからだ。

案の定、視線を左右に動かすと、ソファに座っている後頭部が見えたので横から顔を覗き込んだ。


 赤城「つーばーきーちゃんっ!!…って、え?」

みちる「ッ、……?」

 赤城「ちっちゃい…椿ちゃん?」

  尊「…それ、椿。」

 赤城「へ?」


ソファに座っていたのは確かに深緑色の髪をした少女だった。

しかしどう見ても4、5歳の幼女であり、赤城が探していた少女ではなかった。

顔を覗きこまれたことに驚いたのか幼女は体をびくつかせ、持っていたウサギを盾にするように赤城に向けた。

その表情には怯えと困惑が広がっており、突然やってきた赤城に疑問符を浮かべている。

同じように疑問符を浮かべていた赤城だが尊の言葉にさらに首をかしげて幼女を観察し始めた。


 赤城「えっと…君、名前は?」

みちる「………つばき、みちる。」

 赤城「……はい?」

小太郎「それ、みちるさんですよ〜。」

 赤城「いやいやちょっと待って!?俺らが知ってる椿ちゃんは19歳の女の子!!」

小太郎「昨日みちるさん力使ったでしょ?普段力を使わない反動なのか、体の中の細胞が異常に活性化しちゃうんだよね。」

 赤城「……つまり?」

小太郎「うんと…体の中に力が溜め込まれてる感じ?になっちゃって若返ったり成熟したりしちゃうの。」

 赤城「……えっと、じゃあこの子は…。」

小太郎「みちるさんの幼少期の姿だね。」


えへへ〜と笑う小太郎の言葉を理解した赤城は急に幼女を振り返った。

自分に向けられた視線にびくつく幼女を放っておいてじーっと上から下まで眺める。

若干涙目になっている幼女を観察し終えた赤城はようやく声を発した。


 
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