ひとりぼっちのお姫様。
□少女の背中の大きな荷物
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開店準備をしていた出雲は思わず手を止めて振り返った。
出雲「…お茶会?」
みちる「そう。まぁお花見みたいなものなんだけど。」
美咲「みちるの家の狂い桜が咲いたんで、見に来ません?」
*少女の背中の大きな荷物*
お茶会に誘われた吠舞羅メンバーは時間通りに待ち合わせ場所に来ていた。
すると現れたのは私服姿の猿比古と14歳の姿の小太郎だった。
こちらの姿を見つけた小太郎は笑顔で両手をブンブンと降った。
小太郎「こんにちは!!」
出雲「伏見も行くんか?」
猿比古「行かないとうるさいんで。」
小太郎「じゃあ行きましょうか!兄さんは先に行ってみちるさんの着付けしてますし。」
アンナ「…着付け?みちる、着物着てるの?」
小太郎「うん。あ、でも向こうから話しかけられるまで話しかけちゃダメだよ?」
尊「…何でだ。」
小太郎「今日のみちるさん、当主代理ですから!」
笑顔を浮かべる小太郎と対照的に顔をしかめる猿比古に首をかしげるが、歩き始めた2人の後を追った。
てくてくと道なりに歩いていくと前方に豪華な高級車が何台も止まっているのが見えた。
驚きながら横目で見ていると、小太郎と猿比古は高級車が入っていく屋敷の方向へ歩いて行った。
後ろで坂東やエリックの引きつったような声が聞こえるが、小太郎はまっすぐに進んでいった。
門の前に着くと小太郎は手で進むのを制された。
SP「失礼、どちら様でしょう。」
小太郎「あ、八田小太郎です。当主代理、椿みちるに招待されました!」
SP「招待状などはお持ちですか?」
小太郎「内輪でやるお茶会なのでないです。親族会には出ませんので。」
SP「確認させて貰ってもよろしいですか?」
小太郎「どうぞ。あ、南雲雄一郎さんに聞いたら分かると思います!」
その言葉で門番は電話をかけ頷くと小太郎に道をあけた。
丁寧にお辞儀を返した小太郎は固まっている吠舞羅メンバーを引き連れて、目の前の屋敷とは少し離れたところにある建物に向かっていった。
慣れた手つきでドアをノックするとすぐに若々しい男性が出てきた。
南雲「いらっしゃいませ、小太郎様、伏見様。」
小太郎「南雲さんこんにちわー。」
猿比古「…ども。」
南雲「後ろの方々が吠舞羅さまですか?」
小太郎「そうですよー。」
南雲「初めまして。私、当屋敷で執事長を務めています南雲雄一郎と申します。本日はようこそいらっしゃいました。」
出雲「はぁ、どうも……。」
南雲「皆様のお噂はお嬢様からよく聞いております。お茶会の準備が整うまで応接室でお待ちください。」