ひとりぼっちのお姫様。

□彼女のボディーガード
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とある日、出雲に頼まれて買い出しをしていた赤城と坂東は黒いスーツ姿の美青年を見た。

同性にも関わらず、あまりにも綺麗だったのでつい見蕩れてしまったのだ。

同じ日、街中を歩いていたエリックはおかしな人間を見た。

格好はどこにでもいそうな青年なのに、中身がどうもおかしかったのだ。

藤島に呼ばれ、もう一度青年の方向を見たがすぐに見失ってしまった。

そして同じ日、千歳と出羽は男性に絡まれているみちるの姿を発見したのだった。



            *彼女のボディーガード*



買い出しから帰ってきた赤城と坂東は出雲にいかにその男性が綺麗だったのかを熱弁した。

軽く聞き流していた出雲だが、帰ってきたエリックの話には疑問符を浮かべた。


 出雲「…ちゅー事は、ストレインかもしれへん、と?」

 エル「何ていうか…人間っぽくなくて、変な感じがした。」

 藤島「変な顔してたのはそのせいか。」

 赤城「そいつどんな奴だったんだ?」

 エル「黒い上下のスーツ、黒髪。男だった。」

 坂東「…それ、俺たちが見たやつと同じじゃね?」

 赤城「え?…あ、そうかも!さんちゃん偉い!!」

 出雲「人間らしさの薄い、男も見とれるほどの美人さんかいな…また濃い奴やな。」

 藤島「千歳と出羽は?」

 出雲「もうすぐ来るんとちゃうの?…みちるちゃん、遅いな。」

 エル「お嬢、いつもならもう来てる…。」


釣られて時計を見るとすでにお昼を回っており、控えめに顔を出す少女の姿はまだない。

とてとてとやってきたアンナは出雲を見上げて問いかけた。


アンナ「みちる、来ないの?」

 出雲「んー連絡来とらんから、もう少し待ってような、アンナ。」

 赤城「そういや、八田さんも今日は遅いんでしたっけ?」

 坂東「何か用事があるとか…鎌本は?」

 出雲「いつも通りどこかでなんか食っとるんとちゃう?」

 藤島「確かに。」

アンナ「……みちる。」


心配そうに呟いたアンナに周りは黙り込み、出雲は携帯を取り出した。

そして千歳と出羽に連絡を取った。


 出羽『はい、こちら出羽と千歳でーす。草薙さんどうしました?』

 千歳『何かありました?』

 出雲「なんや、一緒に居たんかいな…。みちるちゃんが遅いからかけただけや。絡まれたかもしれへんからちょっと見ときー。」

 千歳『了解っすー。』

 出羽『って…草薙さん、椿ちゃん発見しました!無事みたいですよー。』

 出雲「あっさり見つかってしもた…アンナ、みちるちゃん今から来ると。」

アンナ「……出雲、みちる大丈夫?」

 出雲「ん?出羽ー、みちるちゃん絡まれとるん?」

 出羽『今のところ何もないですけど…。』

 千歳『あ、草薙さん、椿ちゃん絡まれたんで助けに行ってきますー。』

 出雲「なんかアンナが心配そうやから気をつけー。』

出・千『『了解っすー。』』


通話を切った出雲はアンナを安心させるように頭を撫でるが、アンナの表情は暗いままだった。

出雲たちは顔を見合わせ、出羽と千歳からの連絡を待つのだった。






 
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