ひとりぼっちのお姫様。

□改めまして、よろしくお願いします。
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朝――…。

八田美咲は鳴り響く携帯のアラームで目が覚めた。

手を伸ばし止めると、もう一度眠りにつこうと布団を手繰り寄せた。

そこで何か柔らかいものに触れ、無意識のうちに抱え込んだ。

しばらくもぞもぞと動いていた塊は美咲にしがみつく様な格好で落ち着いた。

そして、美咲とみちるは再び眠りに落ちた。



    *改めまして、よろしくお願いします。*



尊とアンナが連れ立ってリビングへやって来ると、そこでは出雲が既にキッチンに立っていた。


 出雲「おはようさん。尊、アンナ。」

  尊「…草薙、コーヒー。」

 出雲「はいはい。アンナ、飯食うか?」

アンナ「うん。…みちるは?」

 出雲「まだ寝とるよ。けどそろそろ起こさなアカンな…八田ちゃんも起こさんと。」

  尊「結局あいつはソファで寝てんのか?」

 出雲「そうなんとちゃう?ほな、みちるちゃん起こしに行ってくるさかい。八田ちゃんは頼んだでー尊。」


返事を聞かずにさっさとリビングを出て行く出雲に尊はため息をついた。

リビングを出て客室へ向かった出雲は扉をノックし、声をかけた。


 出雲「みちるちゃん、朝やでー。」

   「………。」

 出雲「寝とるんか?ほな入るでー。」


扉を開けた出雲はベッドの上の大きな毛布の塊を見て苦笑した。

カーテンを開き、太陽の光を見て眩しそうに目を細めるともう一度ベッドを振り返った。

しかし、目に飛び込んできたものを見て固まってしまった。

布団の隙間から覗いていたのはみちるの深緑色の髪ではなく、明るい茶髪だったからだ。

恐る恐る毛布を少しだけずらすと、そこに居たのはソファで寝ているはずの美咲だった。

出雲は太陽を浴びてまぶしそうに体を動かす美咲に呆然と声をかけた。


 出雲「…八田、ちゃん?」

 美咲「……草薙さん、もう朝ッスか…?」

 出雲「そ、そうや…。」

 美咲「あー…みち、朝。起きろ……。」

みちる「…んー、みさきちゃ…。」

 美咲「はいはい、おはよう…。」

みちる「おはよう…?ごはん……?」

 美咲「そー、ご飯。服はそのままでいーから、行くぞ……って、あれ?」


目を開けた美咲は眠たげに伸びをし、布団をとってみちるを太陽に当てた。

寝ぼけているみちるは美咲の首に腕を回して二度寝の体制を取った。

美咲は慣れた手つきでみちるの上半身を起こし、頭を撫でた。

そこまで一連の動作を行った美咲は固まっている出雲の姿を見つけた。





 
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