夢小説メニュ(普通篇)

□雨
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雨。


最近雨の日が多い。仕事場まで電車出勤なんて…金もかかるし、最悪。


なんて思いながら電車に揺られて途中の駅から乗ってくる人を眺めていた。


見覚えのある制服。俺の高校の後輩みたいだ。



Theme:雨



難波駅まで傘をさして歩く。一日中降る雨は、長い時間楽屋で時間を潰した甲斐もなく


小降りになってはくれなかった。


あれはだいたい…11時過ぎ。


傘っつーやつは自分で持たなあかんし、めんどくさい。そのクセ足元は濡れよるし。


ジーパンのすそはもうすでに色が変わっていた。


「なぁ、これからどこ行くん?」

『もう帰る。』

「えぇ〜カラオケでも行かへん?」

『いい。帰るってば。』


俺の前を歩いていた女の子が男にナンパされている。


「遊びに行ってたん?デート?」

『バイト。』

「へぇーどこ?どこでやってんの?」

『どこでもいいやん。』

「なぁーちょっと!ちょっとだけでいいから行こっ」


・・・・しつこ・・・俺やったらもうあきらめるわ。

見るからにチャラそうな男やけど・・・こいつ俺より年上やろ絶対。

そんなかわいいんかなこの子。ずっと前向いたままで横顔も見えん。

少し早歩きで前の2人を抜かしてみる…
お、なかなか。

けど気ぃキツそうやからマイナス15点ってとこやな。
見たところ18か19ぐらいか。
ナンパ男もさすがにあきらめたようで、彼女の後ろ姿にヒラヒラと手を振っている。

彼女は、俺と同じ電車に乗ったが俺の降りる駅の3つか4つ前の駅で降りていった。


それから何度か雨の日に、いつも同じ時間の電車に彼女はいた。

それは偶然じゃなくて、当然だった。


彼女はいつもまっすぐ前を向いて女の人にしては少し早いペースで歩く。

堂々としているのにどこか悲しそうに見える。そんな彼女の姿を見るためにあの時間に電車に乗った。

若手芸人は、お金がない。電車代も往復分になると毎日はムリだ。

雨の日しか会えない。

雨は大嫌いやけど、今だけ、

今だけはちょっとくらい好きになったってもええかな。
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