長編無双小説

□夢の政 四章 信の心
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朝食を終え、部屋で寛いでいた幸村。そこへ小十郎が入ってきた。

「真田殿・・・暫し話があります」
「・・・何でしょうか?」

神妙な面持ちな小十郎に少しばかり緊張してきた。

「現夢香の話、殿から聞きましたよね。実はあれにはもう一つ秘密がございまして・・・」
「秘密・・・ですか?」



少し重い口調で小十郎は幸村に告げた。

「確かに現夢香は見たい夢を最後まで見れます・・・しかし、その夢を簡単に見せず現夢香自らその相手に試練を与え、その試練を見事乗り越えた時願いが必ず叶えられると伝えられております」

幸村は小十郎が告げた現夢香の真実に唖然とした。昨夜見た夢はもしかして現夢香が私に課した試練だったのか・・・と。

「あの・・・その試練に失敗するとどうなるのですか?」
「・・・二度と現実に戻れず永遠の眠りに就いてしまわれます」

現実に戻れず、永遠の眠りに・・・。あまりにも過酷な真実に幸村は驚愕し、ガクガク震えた。

「その事は政宗殿は御存じなんでしょうか」
「いえ、これを伝えるにはまだ早いと思いまして」


「そう・・・ですか・・・後で私の口から政宗殿に伝えておきます。片倉殿、本当の事を申してくれて感謝しております」
「真田殿・・・真によろしいのですか?命を落とされるかも知れませんよ・・・」
「基より承知です。その覚悟で今此処に居るのですから」






夕食後
政宗の部屋に入ろうとした。けれども誰かと話をしていて入るに入れなかった。
声からすると話相手は今朝会った成実殿。
政宗殿の数少ない血縁者だから・・・積もる話もあるだろう。
今はそっとしておこう。



その晩
結局政宗と話が出来なくて、仕方なく部屋に戻った。いつものように現夢香を焚き、ゆっくりと床に就いた・・・
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