バサラ書庫
□川中島誘拐戦(政幸)
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「Let's party Ya-ha-!!」
異国の言葉を悠長にこなす若き大名、伊達政宗。天下統一という野望を達成する為、ただひたすらに各地の大名を打ち負かしてきた。今度の戦場は武田の川中島。戦国最強と謳われる武田信玄が統治している。武田を今の内に潰しておけば、後は楽だと考えたのだろう。
「伊達の軍勢がこっちに向かってきております」
武田の偵察隊が伊達軍の到来を信玄に報告してきた。信玄は顎を手に押さえ、少し考えた。これから上杉との戦の準備をしていたが、唐突な来客に悩んでいた。そこへ一人の若武者が信玄の方へ向かって来た。
「お館様、伊達は拙者が止めて参ります」
「できるのか?幸村よ」
「はい」
信玄は再び考え込む。この真田幸村は将来有望な武将、万が一伊達にやられたら・・・と思うと気が気でなかった。
「フム、分かった・・・だがな一人で伊達を相手にするのは些か不安だ。佐助を護衛に付けよう」
「お館様・・・良きお計らい有り難き幸せにござる」
「と言う事だ、佐助。仕事だ」
信玄の背後から瞬時に姿を現した戦忍び、猿飛佐助。多少不本意だが信玄の命なので仕方ない。
「この仕事、高くつくぜ」
「よろしく頼む、佐助」
「では、これでわしは上杉の迎撃が心置きなくできる、頼んだぞ二人とも」
信玄は馬に又借り、本陣を離れた。幸村は信玄の期待に応えるべく本陣の守備に備えた。