旧真田邸書庫

□狂おしい程募る想いを・・・(幸政)
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そなたの全てが知りたいから
自分は自分を曝け出す事ができる



川中島で最初に出会った隻眼の少年に心奪われてしまった一人の紅き若武者がいた。

若武者はその少年の事が好きで好きでたまらなくなってしまっていた。

川中島から数ヵ月後二人は偶然にも再会を果たした。

「あ・・・政宗殿・・・」
「なんだ?真田幸村」

幸村は意を決して政宗に自分の想いを伝えた。

「突然申すのも何ですが・・・私は貴方が好きになってしまいました」

幸村の言葉に政宗は呆れる。

「はあっ!?バカか、貴様は!!ワシと貴様は男だぞ!?ソレを知っての上か?」

幸村は真剣な眼差しで政宗を見つめる。

「そなたが男であろうが、好きだということに変わりはありませぬ」

政宗の頭の中がぐしゃぐしゃに掻き乱される。
こんな変な気分は初めてだ。

「貴様と居ると気持ちが悪い!!ワシは米沢に帰る。」

フィッと立ち去ろうとしたとき、政宗の右手が動かない。幸村が腕を力強く掴んでいた。

「離さぬか、バカめ!!」
「離したくありません、そなたは可愛いですから」

可愛いという言葉に政宗は顔が紅くなる。これ以上ない自分への屈辱に政宗の怒りは頂点に達する。
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