旧真田邸書庫
□今宵は温めで愛し合おう(幸政)
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「あーづーいっ!!」
山に囲まれた信濃の夏は暑い。
北国育ちの政宗にとっては生き地獄らしい。
「えっ、そんなに暑いですか?」
生まれも育ちも信濃の幸村には多少暑さは感じてはいるが、もう慣れてしまってる模様。
「幸村はよく平気でいられるな、こんな暑いところ」
暑さで着物がはだけ、団扇でバタバタと扇ぐ政宗の姿は可愛らしくも悩ましい。
「何でしたら少し湯殿でも入って汗を流してきたらどうですか?」
バタバタと仰ぐ政宗の団扇がピタリと止まる。
「湯は少しぬるめにしてもらいましょうか」
政宗は目をキラキラと輝かせる。
「いいのか?」
幸村はニッコリと微笑みながら頷く。
「それで政宗殿が暑さを凌げれるなら構いませんよ」
政宗は嬉しさでピョンピョンと飛び上がり、幸村に抱きつく。
「地獄に仏とはこの事だな!!恩に着るぞ」
そんなに大袈裟に喜んでくれて・・・可愛いです・・・。
「ついでに・・・私も入っていいかな」
「幸村が?ワシと?」
政宗がキョトンとした表情。幸村が申し訳なさそうに頬をポリポリ掻く。
「あ・・・やはりダメですか?」
政宗は少し考えて
「幸村なら構わんが」
幸村はほっと胸を撫で下ろした。