旧真田邸書庫

□小さな独眼竜と共に(幸政)
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「昨晩はよく眠れましたか」

幸村はふと目を開けると、小十郎が起こしにきてくれたようだ。

「・・・こんなにぐっすり寝れたの久しぶりです」


幸村は仰向けのまま答えた。


大阪夏の陣から何日経っただろうか。

政宗に命を救われて・・・
それから政宗の居城・青葉城で安堵な生活を送っている。
周りの人達は皆親切にしてくれている。
今迄こんなに平和だと思ったことはなかったな。

もう戦国の世が終わったからかも・・・
もう槍を振るう意味は無くなった・・・


「大坂の時の傷はまだ痛みますか?」


小十郎が大坂で受けた弾丸の傷の事を心配していた。

「跡は残りましたが、痛みはもう有りませんので大丈夫です」


両腕と腹部に数ヶ所弾丸の跡が残ってしまった。

政宗がくれた飴で心の臓は貫かれなかったのは、奇跡な位だった。

「なら良かったです。あ、そうそう政宗様が呼んでますよ」

「政宗・・・殿が?」
「政宗様が直々に選んで下さったこれを着て来てくれと申されまして」


幸村が似合う色を考えて選んだのか、緋色の着物が用意されていた。早速着替えて、政宗の部屋に入った。

「おお幸村か。ソレ似合っておるな。やはりワシの目に狂いはなかったな」

「えっ、そうですか?」

首を傾げる幸村に政宗はニコニコしながら頷いた。
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