長編無双小説

□夢の政 六章 哀の涙
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幸村と政宗のよそよそしさは今日にも増していた。
先に食べている成実は唖然として汁物を溢してしまっていた。
綱元は政宗が来る迄食べるのを待っていて、その光景を見て穏やかな笑みを浮かべていた。
小十郎は恐る恐る政宗に問い掛けた。

「と、殿・・・何かあったんですか?」
「べ・・・別に何でもないだろ、バカめ。腹が減った、さっさと食うぞ幸村」
「は、はいっ!!」

突然名前を呼ばれてビクッと体が跳ねて、幸村はぎこちなく返事をした。
その光景の一部始終を成実と綱元は見ていた。

「何かあったな、ありゃ」
「そうですか?」

がつがつと飯を食べている政宗とゆっくり落ち着いて食べている幸村。
対局な二人の光景を成実と綱元は不思議そうに見つめていた。


「ご馳走様です」
「あ〜、食った食った」

幸村と政宗はほぼ同時に食べ終え、そそくさと其の場から去っていった。
成実は其の光景を見て唖然としていた。


「な・・・何があったんだよ・・・あいつら・・・」
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