長編無双小説

□夢の政 五章 政の愛
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幸村は眠そうな政宗を自分の部屋に連れて行き、
寝床を整えて、そっと寝かせた。

「小十郎殿が朝餉の用意ができたと連絡が来ましたら、起こしますのでごゆっくりとお休み下さい」

「朝餉、食いとうない…」

極度の寝不足で食欲が湧かない政宗に幸村は少し真剣な眼差しに変わった。

「朝餉は一日の活力の源ですよ。全く食さないよりもほんの少し食した方が良いのです」

「幸村も小十郎みたいな小言を言うようになってきたな…小十郎が二人居るみたいだ」

少し不貞腐れている政宗に幸村はクスクスと笑った。

「そうですか?しばらく米沢に居候させてもらってますから小十郎殿に感化されたのでしょう」

幸村は政宗に体が冷えないようそっと布団を被せた。

「それではおやすみなさいませ」
「う、うむ…幸村、ずっとここに居てくれるか…?」

大きな瞳で潤ませながら甘えてくる政宗に幸村は急に鼓動が早くなった。
その姿があまりにも無防備で可愛らしかった。
いつも毅然として、自信満々な政宗と比べ、その落差は激しい。
思わず変な気持ちになりそうだった。

「はい、いいですよ。私で良ければ…」

平然を保っているが、幸村の内心はいっぱいいっぱいだった。
政宗は幸村の言葉に安心したのか、ゆっくりと瞼を閉じ、眠りに就いた。
政宗の寝顔に幸村の顔が綻んだ。
年相応に可愛らしい。

「政宗殿…昨晩から政宗殿に現夢香の事について伝えたいと思っておりました…しかし、心の奥底で私は政宗殿の顔を見たいと思っておりました。成実殿と話していると察したとき…正直に申しますと成実殿が羨ましかったのです…」

もしかして血縁者である成実に嫉妬に似た感情を抱いてしまったのかもしれない…
自分自身のの本音をぼそりと眠っている政宗に伝えた。

この気持ちが何なのか理解できないまま…
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