真田邸書庫
□竜昇り、焔立つ(幸政)
1ページ/6ページ
好きなのに相容れない
自分は今の時代を恨んだことが何度もあった
これが戦国の習い・・・
「真田幸村、覚悟!!」
今目の前に立ちはだかったのは紛れもなく
想い人・伊達政宗。
幸村は槍を下げ、下を俯く。
「幸村・・・恨んでおるのか・・・ワシが徳川についた事を」
幸村は首を横に振る。
「違う・・・恨んでるの政宗殿ではない・・・今の時代を恨んでる」
幸村の目の前に武器を向けていた政宗は動きが止まる。
「・・・ワシも腑に落ちんのだ。なぜワシと幸村が戦わなければいけないのかと」
二人の想いは繋がった
二人は敵同士であるがお互い心惹かれ合い、急激に恋に落ちていた。
しかし、時代は二人を見離した。
真田幸村は少年期から世話になった恩の為、豊臣側に。伊達政宗は片倉小十郎の案で徳川側につき、両軍の最終対決をしていた。
幸村は政宗を包み込むように抱き締める。
「時代は私達を陥れたいようだ。もっと政宗殿に触れていたいのに・・・」
「ワシかて同じ事・・・もっと幸村を知りたい・・・」
二人の目から涙が溢れていた。お互い慰め合うように。幸村の腕に力が入り、政宗をキツク自分の胸に埋める。政宗は幸村の温もりを体全体に感じていた。