真田邸書庫

□竜昇り、焔立つ(幸政)
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好きなのに相容れない

自分は今の時代を恨んだことが何度もあった

これが戦国の習い・・・



「真田幸村、覚悟!!」

今目の前に立ちはだかったのは紛れもなく

想い人・伊達政宗。


幸村は槍を下げ、下を俯く。

「幸村・・・恨んでおるのか・・・ワシが徳川についた事を」

幸村は首を横に振る。

「違う・・・恨んでるの政宗殿ではない・・・今の時代を恨んでる」

幸村の目の前に武器を向けていた政宗は動きが止まる。


「・・・ワシも腑に落ちんのだ。なぜワシと幸村が戦わなければいけないのかと」


二人の想いは繋がった
二人は敵同士であるがお互い心惹かれ合い、急激に恋に落ちていた。
しかし、時代は二人を見離した。
真田幸村は少年期から世話になった恩の為、豊臣側に。伊達政宗は片倉小十郎の案で徳川側につき、両軍の最終対決をしていた。


幸村は政宗を包み込むように抱き締める。

「時代は私達を陥れたいようだ。もっと政宗殿に触れていたいのに・・・」

「ワシかて同じ事・・・もっと幸村を知りたい・・・」

二人の目から涙が溢れていた。お互い慰め合うように。幸村の腕に力が入り、政宗をキツク自分の胸に埋める。政宗は幸村の温もりを体全体に感じていた。
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