真田邸書庫

□火具土と素戔鳴の炎(孫政+幸政)
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幸村はふと見かけた。

政宗が走っている姿を。

政宗殿が向かっている先は雑賀孫市の所。確かに孫市殿は大人の男性で私が見習うべき所を色々持っている。

しかし


私の心の靄が晴れない


私はこんなに政宗殿を慕ってるのに・・・


気付けば私の手は政宗殿をつかんでいた。

「幸村!?その手を離さぬか」

政宗は鋭い眼光で幸村を睨み付ける。幸村は多少畏怖したがそれより自分の気持ちが勝っていた。

「そなたに聞きたい事がある」

政宗は抵抗する。幸村の手はそう簡単に抜けられなかった。

「ワシは急いでおる、貴様の話なんか聞きたくないわ!!」

そんなに拒絶しなくても・・・
正直へこんでしまいそうになった。

「政宗殿は孫市殿が好きなのか」

単刀直入の質問に政宗の顔が赤くなる。

「何を言うかと思えば・・・、バカめ。あいつの事が気になるだけで好きという感情はまだ持っておらん」

内心幸村は胸を撫で下ろした
政宗の一言が出るまでは。


「あいつが何故ワシをあの時抱いたのかを」


幸村の感情に怒りが込み上げてきた。政宗殿は孫市殿に抱かれた。その現実に。
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