真田邸書庫
□竜猫遊戯(幸政)
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一匹のネコを見た。
茶トラの尻尾の長いネコを。
そのネコは何故か政宗に懐いている。
「なんだ、こいつは?随分とワシに懐いておるが」
政宗の隣に居るのは真田幸村。幸村は微笑ましい光景を目の当りにする。
「おや、このネコはよっぽど政宗殿が気に入ってるようだ」
「ネコに気に入られても、嬉しくないわ」
でも今の政宗の顔はほんの一瞬だけど嬉しそうな顔をしていた。
茶トラのネコは政宗の足をスリスリと寄ってきている。素肌にネコの毛は何かとくすぐったい。
「お前、一人か?親はおらんのか」
政宗はそのネコを抱き上げる。ネコは嫌がらずに政宗の頬を寄せる。そしてペロペロとザラザラした舌で舐められる。
「うわっ、何をする。バカめ!!」
政宗はそのネコの行動にびっくりする。幸村はクスクスと笑う。
「やはりそのネコは政宗殿が大層気にいったようだな」
「笑い事じゃないぞ、幸村」
幸村はこのネコが何故政宗に懐いてるのか何となく察知できた。
着ている服の柄が似ているから。
ただなんとなくそう思った。