小説

□◎永い空へ・・・─追憶─・・・
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 光一つない。何もない。
 真っ暗な何処までも真っ暗な闇の中・・・。
 僕は目覚めた。
 ・・・何でここに居るんだろう?僕は一体どうしていたんだろう・・・?
 どうして、ここで寝ていたのかも分からない。
 何も聞こえない。無音の空間の中・・・。
 本当に目を開けているのだろうか・・・。
 自分の目で前を見ているのだろうか・・・。
 これは、自分の体なのだろうか・・・。
 腕は?指は?足は・・・?ちゃんと、動かせているのだろうか・・・。握ってみても感覚がない。
 分からない。そこに“存在”しているのかさえ・・・。
「あー!!!」
 思わず叫んでいた・・・。
 ・・・。
 反響してない・・・。やっぱり、ここには何もないんだ。
 でも、大切な事を忘れているような気がする・・・。すごく、大切な・・・人を。
 あれ?
 ─確か、僕は“とおる”を助けようとして・・・車に轢かれた。
 僕に向かって道路に飛び出した透。ただ守りたい一心で何も考えずに・・・。
 痛みさえほとんど感じない程の、一瞬の出来事だった。
 という事は、ここは黄泉の国というところだろうか?
 あれから、どのくらい経ったのだろう?
 透は、無事なのだろうか?
 気になる、どうか見せて下さい。か・・・神様か?この場合。
 ・・・僕は、瞳を閉じ両手を組みひざまずく。
“神様・・・”
 ・・・。
 
「んっ・・・」
 眩しい・・・。
 気付くと真っ白な光に包まれていた。
 目を細めていると、ただ光だけだった世界が、色鮮やかに変わっていく。
 ここは・・・?

 “御園大付属箱紅学園(みそのだいふぞくはこくがくえん)”
 赤レンガ造りの綺麗な
校舎。
 制服を来た小学生達が楽しそうに歩いている。
 ここって透の通っている小学校・・・?

「透!今日遊んでから帰らね〜?」
「ボクはいいや」
「まだ辛いの?」
「全然大丈夫だよ」
「本当に?」
「うん、バイバイ」
「じゃな〜」
 まだ、あどけなさを残した顔・・・小さな体躯。
 あれは。
“「透!」”
 思わず抱き付いたけど、体をすり抜けてしまう。
 感覚がない・・・。何も。やっぱり幽霊になってしまったんだな、と再確認した。
 こんなに、近くに居るのに触れられない・・・髪を撫ぜる事も、キスをする事も、何も出来ない・・・。
 ただ、唯一の救いは透が元気な事。
“「透・・・元気なんだね。良かった」”
 安心した。
 僕がいなくなったせいで、落ち込んでいるかな、とも思っていたから・・・。
 でもその時、
「祥ちゃん、何で・・・?」
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