鋼の錬金術師小説♪
□野望
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「私は上を目指す、上は大総統だ!」
「私を呼んだかな?」
上を目指す。と叫んだロイの目の前にいる眼帯をした人物。
「うわあ!」
ロイが驚いたように飛び上がる。上を目指す。と叫んだ彼の言葉は今は少し弱弱しいものとなっていた。
「私を?」
「いや、物のたとえです大総統」
冷や汗をかいているロイを見て、眼帯の人物はにやりと意地悪く笑う。
「上を目指す」
それはロイの口癖だった。全職員の女性のミニスカ計画、それは大総統にならなければ果されない。
「上を目指す」
その口癖を聞いたブラッドレイはにやりと笑い、そしてロイの冷や汗混じりの顔を見てまた意地悪く笑う。
「ミニスカか?」
「うう……」
「まあいいか」
ブラッドレイはロイの顔を覗き込み、そしてその端正な顔を見詰め、また意地悪げににやにやと笑う。
「ロイ大佐」
「はい?」
「どうせなら全職員ミニスカにしよう」
「はい?」
「全員だ」
「はあ?」
「それは君も含まれている」
「へ?」
ロイのまん丸になった目を見て、今から悪戯をする悪童のようにブラッドレイは笑った。そしてロイの額の髪を優しくなで、ブラッドレイは彼の頬に自らの手を寄せる。
「はい?」
「意外と似合うだろう」
「何が?」
「いや君のミニスカ」
「へ?」
「うん、やってみよう」
眼帯に隠された方の目はよくわからないが、今のブラッドレイを見ていると、その隠されたほうの目も意地悪げに笑っているのだろう。と予測される。自分の頬にかかるブラッドレイの冷たい手の感触を感じながら、ロイはただひきつった笑みを彼に向けるしか今はなかった。