よろず部屋(テニプリなど

□切なさと陽だまりと
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「ねぇ、手塚」
不二が上目遣いに俺に声をかけてくる。こういうときのあいつは何かを企んでいるのに
間違いない。俺は思わず警戒する。
「何だ? 不二」
甘えるように俺を見る。ここは部室。決して二人っきりになるまい――と俺は思っていたのに、
着替えている俺を見ながら、扉を不二が開けて入ってきた時のさびしそうな顔を見て、思わず
声をかけてしまった。
「僕のことさけてない?」
「……お前らのせいだろ!」
俺は思わず声を荒げる、すると泣きそうな顔を不二はする。
それを見ると思わず、俺はうっと言葉に詰まる。
「これ、飲まない?」
不二が差し出したのはスポーツドリンク、しかも栓が開いている。
俺は思わず不二を怒鳴りつける。
「飲むわけないだろう!」
その声を聞いて、泣きそうな顔を不二はする、やはり俺は言葉に詰まる。
その顔は子供のようで、可愛らしい。
「ねぇ、何にもはいってないからさぁ」
「信じるわけないだろう! あんなことしておいて!」
「あんなことって?」
不二が小首をかしげてたずねる、ここは部室、二人っきり。
そんな言葉が頭をぐるぐる回る。あいつらはやってこない――はずだ。
「あんなことだ!」
「一体何?」
「だから!」
「この頃手塚変だよ?」
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