駄文置場

□水銀
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口に含み味わう間もなく喉を滑り落ちる流体。

胃袋へ到達するまでのぬらりとした感触も、まるで表皮を裏返した生物のように妙に生々しく感じられた。

無意識のうちに流し込んだものなのか、自ら望んでそうしたのか。
それとも、飲み込まねばならないよう何者かに仕向けられたのか。

今ではもう、奇妙なこの癖の事始などどうでもよくなった。知ったところで止む事ではないのだから、わざわざ気に留めるほどでもない。

時折腸から胃、胃から上へと這い上り横隔膜辺りを突くような仕打ちを受ける。
消化仕切れぬものならば、吐き出せばいい。
だが、腹の底に長く留まりすでに胃液と混ざり合ったのでは吐き出すにも遅すぎる。
時経たぬうちに、吸収されるだろう。

「ねえ、屑桐」
静寂を打ち破って声がした。
ちらちらと明滅を繰り返す蛍光灯の下へかざしたグラスの中で、わずかな光を孕み白々しく輝く流体。
その雫を飲み下す。
一滴残らず。
「失せろ、元より貴様に用はない」
「でも、必要としているのは知ってるよ」
グラス越しに、反駁する男の姿が歪んで見えた。
手を伸ばしながら、足音一つ立てず近づいてくる。
自ら望んだことなのだと今更、気付いたところで逃れることはできない。
薄暗い部屋の隅で、ただ穏やかな侵食を待つだけ。
辿り着いた指先が空になったグラスを取り上げた。
「確かに君の中にあるのだから」

さあ、すべてを飲み込めと。
確信の笑みを浮かべて奴は言った。









えと、説明不足でよくワカラナイ短文ですみません。スターリンの水銀のイメージでして、牛尾中毒になっちゃった屑桐さんなんです。別に裏とかじゃないんですけど、どうだか。
絵どころか文も向いてないのか。

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