NOVEL〜Short〜

□彼岸花が枯れるまでに
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 秋の彼岸の頃、真っ赤に咲き誇る彼岸花。この神社の一角にも一つ二つ咲き始めていた。

 ココは惣一お気に入りの場所だ。
 容姿の整った惣一は見た目とは違い、一人でいることを好み学校帰りにこの場所で、ぼーっとしたり、読書をしたりして過ごすのが日課になっている。
 特に彼岸花が咲くこの時期が一番のお気に入りだった。

 今日もいつものように学校帰りにこの神社でくつろいでいた。人の気配はまったくない。
 しかし、読み始めたばかりの本を3分の1くらい読み終えた時だった。

「ね〜、あんたいつもいるね。」

 ふと後ろから声がし、振り向くと、制服姿の、見ず知らずの男が立っていた。 おそらく年は同じくらい、女顔で整った顔立ちをしていた。
 
「誰だ。おまえ。」

 惣一は冷たく冷静に聞いた。

「俺?俺、充ていうの。おまえは?」

 そんな冷たい質問に動揺をまったく見せず、明るく調子のある声で返してくる。
 しかし、惣一もまったく動揺など見せず、あくまで冷静に返す。

「知らない奴に教える義務はないね。」
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