11/18の日記

06:58
今更ティアクライス。リウ過去
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リウが村を出る時。




一寸先も見えないほどの闇の中を、幼いリウは早足で進んでいた。何度も木の根に足を引っ掛けながらも、大きな音を立てないように慎重に、できるだけ早く進む。
真っ暗で何も見えないため、その足取りは遅々としたものだったが、それでも朝が来る前に森を抜ける必要があった。
村を出るのは夜だ、とリウが決めたのは、別に他のスクライブの目を忍んだとかそういう理由などではない。ここらの植物系や鳥系の魔物は、夜中は休眠しているのかあまり活動しないし、サイケ蝶はこの季節蛹となってこちらから手を出さなければ大人しい。そういった情報から導かれた最善の決断である。
色んな情報を統合して、合理的にかつ確実に物事を推し進めるのはスクライブの性だ。そんな自分の慎重さに助けられながらも、心中酷く苦いものがあった。ただ、我武者羅に思いつくままに行動してみたかった。だが、人間より少し回転の良い頭と、生来の気弱さがそれを否定する。ふぅ、とため息を吐いて、首を振った。今はただ森を出ることだけを考える。
夜の樹海は飲み込まれてしまうのではないかと錯覚するくらいには深く、静かだった。ひょっとしたら延々と彷徨い続けるのではないかという不安に苛まれる。
或いは、あの村に戻るべきなのではないか?結局スクライブは村に帰依して、そこから一歩も踏み出ることができないのかもしれない。
(でも、出るんだ。外へ)
真っ暗な樹海を抜けて、未だ本の中でしか知らない満天の星空を見上げる。木々に遮られない、燦燦と照る太陽の光を浴びる。地平線に沈む太陽を見て、高く聳え立つ山々に登って。平原も歩いて。平原とは本当にただ草が生えてるだけなのだろうか、木々の一本も生えずに?ああ、そうだ、ナイネニスにも行って。ポーパス族の住むという巨大な貝をこの目で見て、海も見て。水平線というものを、空と海が交わっていると本には書かれてあったそれを、この二つの目でみるのだ。
期待と好奇心はあっという間に胸を埋め尽くし、足取りは徐々に速くなっていった。
(知識だけじゃ足りない!一生、視界いっぱいの空も海も見れずに閉じこもって死んでいくなんて冗談じゃない!)
ついには走り出してしまった。がさがさと草を踏む音が森に響く。ひょっとしたら魔物が起きてしまうかもしれない。それでも、リウには足を止めるという選択肢を持っていなかった。
森の奥が薄らと明るい。
根に足を取られかけたが飛び越えて走った。ぬかるみに滑って、粘る草の葉を足にくっつけさせながら駆ける。息がでたらめに乱れる。耳の奥に心臓があるみたいにばくばく脈打つ音が喧しい。樹海の中でこれほどめちゃくちゃに走ったことがあっただろうか。
交差していた木々が、天を帳のように覆っていた葉が、枝が、突然ひらけた。
外だ。
空は依然として暗かったが、東の峰から薄い光が滲んでいて、靄掛かった大気が目に優しい。
無意識に止めていた呼吸を思い出し、慌てて深呼吸をして恐る恐る空を見上げた。
(嗚呼、なんて…)
西の空は群青を残し、未だ星が煌いている。その星はあの木々の合間に見た空に数えるよりもずっと多い。それに、それに何て広い空だろうか。天はこんなにも広く、果てがない。限られた空しか見たことのないリウにとって、それは大きな衝撃だった。
東の空が眩しい。
「……夜明けだ」
これが、日の出か。そう呟いたつもりが、それは声にならずに大気を震わせる呼気として消えていった。
樹海の暗さに慣れた目には、眩むような光だ。ぼんやりとした霞が多少は和らげてくれるが、それでもリウの目には痛いほどだった。
(眩しい、これが外か。こんなに明るい場所があったなんて)
どくどく、と走っていた時とはまた違う鼓動を跳ねさせながら、両手を広げて空気を吸い込んだ。森の空気とは違う匂いがする。些細なことに喜び、再び走り出したくなる。
(レン・リィンに教えてあげたら…!)
その事を思い出した瞬間、驚くくらいすっと熱が引いた。
彼女は来なかった。リウ・シエンは独りだ。
あれほど焦がれた外の世界への感動、驚き、ざわめき。これらを共有するものはいないのだ。
(独りだ)
胸の奥がちくんと痛んだ。これが寂しさ、切なさ、そういった感情なんだろうなと漠然と考える。あの森にはそういった感情すら存在し得なかった。
「嗚呼、外だ」
ほろりと頬を伝った涙は、眩さに目が痛むせいだろう。靄はとうに晴れている。
リウは厳かに一歩を踏み出した。彼女のことは忘れないけれど、それでも後悔はきっとしないだろう。
まずは、ナイネニスだ。



そういやティアクライス書いてないなーと思って。
リウがね、好き。今回主人公じゃなくて軍師に落ちた。まぁ…当然かなって思う。
リウレン可愛いよね。ノーマルカプー
まぁぶっちゃけルオリウでも美味しく頂けるわけですが!
っていうかスクライブが好きだよスクライブ。ミュン・ツァイとかいいよね!ハウ・シーですら愛せるよ。あのツンデレ!というかツンデレ多すぎるだろう…TK
ロベルト。ドガじーさん。ハウ・シー。モーリン。夜魔の人。弟。……あれ、ツンデレ娘一人?他全員男?なんてこった、公式病気過ぎる。
あとヤンデレも多いよね!
ソフィア。フレデグント。ディルク。……敵勢力病みっぱなしか。
まぁ…ね、スクライブ!皆が長ー長ーって長愛しちゃってんのが可愛いなぁもう!ってなる。ジェイルとルオ・タウはお前ら何競ってるの?え?リウヒロイン?公式?みたいな感じになる。
レンはアピールしすぎだよね。ハウ・シーがいようと流刑者がいようと関係なく「あの、リウ・シエンは…」だよ。どんだけ好きなの。可愛いなぁ。緑の石はによによするね!
まぁルオリウだけどな(台無し)
或いは主リウ?(この腐れ脳みそ!)
今回の主人公は総攻めだよ。ガン攻め。T主は台詞多いから愛されっていうより口説き落としたに近いものがある。例えるなら、そう…某テイルズのアーヴィングさん的な…あ、あああアニキぃー!!

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