02/02の日記

01:10
続くかもしれない。
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フォニムばくはーつ!な感じでガイが15歳くらいに若返っちゃったよ!(←なんてなげやりな設定)



「これは…困りましたねぇ……」

世にも珍しい、ジェイド・カーティスの困惑した声音だったが、その場の誰しもが彼に同調した。
目の前には14,5歳の少年が驚いたようにこちらを見ている。短い金髪に空をそのまま写しこんだような鮮やかな碧眼、まるで彼の使用人然とした伯爵様を若返らせたような――否、伯爵その人なのだ、この少年は紛れもなく。
何がどうなってこうなっているのか、それは誰にも理解できず、正しく「困った」という空気が辺りを包み込んだ。

「……が、い?」

恐る恐る声を掛けたのは、短髪にそろそろ違和感を感じなくなったルーク・フォン・ファブレであった。正確にはレプリカだが。
無表情に見返してくる幼なじみに、おどおどと確認のために名を呼ぶ。

「ガイ、なのか」
「赤い髪……ファブレに連なる御方でしょうか」
硬質な返答にさっと顔を青褪めさせる。

「おれのこと、わかんないのかよ…」
「ルーク…」

悄然と俯くルークを慰めるように名を呼ぶティアに、少年に姿を変えたガイは目を瞠った。
「ルーク?ルーク坊ちゃん?!」
「はぅあ!ルーク坊ちゃんだって!ルークってばそんな風に呼ばれてたんだ〜」
「う、うるせぇ!やめろっつってもなかなか止めてくれねぇんだからしょーがねーだろ!」
「ふむ…しかしこれで分かりました。どうやらガイは見た目だけでなく記憶まで遡ってしまっているようです」
「そんな…なんとかなりませんの!?」
「原因がわからないことにはなんとも…」
「あの」

いつもの彼より幾分か高い、少年らしい声が遮るように発せられる。
皆に注目されて居心地が悪いのか、もぞりと居住まいを正してゆっくりと口を開いた。
「まるで状況が飲み込めません。説明していただけませんか」
聡明な光を湛えた瞳は真っ直ぐにルークを貫いていた。些か強すぎるその視線に疑問も持たず、ルークは頷いて辺りを見回した。
「あ、ああ…でもこんな所で話すのもあれだよな」
「そうね、少なくともこんな所でのんびりしてるわけにもいかないわ」
「はいはーいアニスちゃん提案!とりあえず一番近いセントビナーまで行くのはどうかな?」
「そうですね、構いませんか?」
「あ、はい」
自身が縮んだことで大きくなった服の袖を折ったり、裾を靴に押し込んだりして、どうにか動けるようにまとめると、ガイはしっかりと頷いた。
「しっかりしてますねー、誰かさんとは違って」
「お、おれのことかよ!」
「おやおや〜私は誰とは言ってませんよ?心当たりでもあるんですかぁ?」
「ちくしょー!性格悪ぃぞジェイド!!」
「っていうか〜大佐が性格最悪なの今更だしぃ」
「アニース?」
「はうー!な、なんでもないですよぅ〜」
騒がしい面々に呆気に取られていたガイだったが、近づく気配に慌てて距離を取る。
「あ、ごめんなさい」
「…いえ」
「……あなたは幾つなの?」
「15になります」
「そう…信じられないかもしれないけど、あなたは元々21歳だったのよ」
「…それは、どういう」
「詳しくは着いてから話すわ。行きましょう」

マルクト領地、セントビナーはもうすぐそこまで迫っていた。

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