01/30の日記

18:23
あびめが意外と進んでた
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「ガイ、とりあえず剣を収めてはいかがです?この調子では、ここにいるほとんどの人間を殺さなければあなたの復讐は終わらない」

イオンの静かな言葉に我を取り戻す。
確かに、今俺はキムラスカにマルクト、そしてファブレ家。一体誰を憎むべきなのか判別できなかった。ホドは世界に裏切られた、果ての見えぬ復讐劇に眩暈すら感じる。
そして、ヴァンデスデルカ、俺の騎士。あいつこそがホドを消滅させた張本人だなんて!俺はあいつを恨めばいいのか、哀れめばいいのか、それすらも分からない。

「……とうに復讐する気は失せてたんだがね」

嘘ではないが、真実でもない言葉を囁き、剣を収めた。ここで皆を血祭りにあげたとしても何の益にもならない。
(……俺は、いつからこんなに物分りが良くなったんだろう)

テオドーロの言葉をかわぎりに、各自解散となった。仲間の視線を感じながらも、俺はただ剣の柄を握り締めることしか出来ない。
いっそここで暴れて、キムラスカ・マルクト両国のトップを斬殺してしまえば溜飲は下がるのだろうか。

「ガイ……」
「ナタリア…?」
「お父様を斬らないでくださって、感謝しますわ」
「……」

それだけ言い残して父を追って退出した王女に、何も言えずに立ち尽くした。
父と娘、血の繋がりはなくとも、彼女らの絆は本物だった。それを断ち切るところだったのだ、俺は。
(…よかった、のか)
憎しみが消えたわけではない。それでも、もう復讐は遂げられぬだろう。
酷く安寧とした気分だった。

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