04/25の日記

03:12
おためし
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忍術学園の教師となれと言われた時、何をたくらんでいると疑ったわけだが、その疑いは晴れることなくますます重く、固くなっていく。一体何をたくらんでいるものやら。

「せんせーおはよーございまーす!」
「ああ、おはよう」

わぁわぁとはしゃぎながら廊下を走る子供達、校庭で球蹴りをしている子供達、教室で予習をしている子、本を読んでいる子、仲間と笑い合っている子供。
嗚呼何もかもがまるで真白い。
赤く染まった我が身がひどく居た堪れないのだ。

「半助、どうだ大分慣れたか」
「山田先生」

いつから監視していたのか、或いはずっと。いつの間にか背後に控えていた山田伝蔵は笑いながら声をかけてくる。その笑顔が私には理解できない。

「真白い…皆、子供です」
「そうだ、子供だ」
「ここは、忍者を育てる学校のはずだ」
「……そうだな」
「なのに、どこまでも…安閑で」
「ふさわしくない?」

振り向けば、そこには父の目をした山田伝蔵がいた。そうだ、この人は忍者であり、父親であったのだ。
彼の一人息子の利吉を思い浮かべて嘆息した。そういえば彼も優秀な忍者であった。

「ふさわしくない…そうです。我々はあの子供らにどこまでもふさわしくない。藍物を染めようとて、手が汚れていては何も成らない」
「その穢れが新たな色を生み出すやも知れん」
「本気ですか」

相手はかつて伝説となったほどの忍びだ、その表情からは何も読み取ること敵わない。けれども彼が感じないはずは無いのだ、真白い子供を修羅に染める業の深さを。

「そうさな、最初は私も辛かった。何が悲しくて教え子を戦場に連れて行きたいと思うかね」
「なら…」
「だがなぁ……、こればっかりは自分で感じるものだわ。土井先生、あんたはもう立派な忍術学園の教師だ、子供達と共に答えを出していけばいいじゃありませんか」
「……復た、私に子供を殺せとおっしゃるつもりか」
「いいや、生かせと言っておるのです。もう、鐘が鳴る。今日は火器の授業でしたか、充分気をつけなさい」
「……ええ、充分に」

もうそこには山田伝蔵はいなかった。呆れるほどの腕だ、教師などせずとも食っていけるだろうに。

「せんせー!持ってきました!」
「嗚呼、重かったろう。ありがとう」

ふわりと頭を撫ぜてやれば嬉しそうに崩れる顔、嗚呼なんと真白い。
いつだって、子供を見るのは辛かった。真白い身体を赤に塗れされたのは誰だ?時代や戦のせいにする気はない、あの子供は私が、私を、子供の顔がいつまでも

「せんせい?」

子供の心配げな顔が映る。にこりと笑って頭を撫でた。

「行こうか」

はい!と元気な声を背中に受け止めて、ぬるい地獄に一歩足を踏み入れた。



「出席を取る!」







土井。く、くれぇ…でもしょうがない。土井だもの。
山田センセの口調がわからんです。あと山田センセってば子供達の前では「土井先生」なのに子供がいないときは「半助」って呼んでることを最近知った。あれだな、きっと土井を保護したのは山田なんだ。土井センセは教師になる前、山田センセのお家に居候してたんじゃないかな!きゅんきゅん。
と、いうか土井は忍者上がりの教師だと信じて止まないのですが、その理由としては
1、子供を切って、過去の自分と重ねちゃって、何かすごくやりきれなくなったから。
2、過去の任務で忍びとして致命的な傷を負ったから。
3、学園長に借りを作ってしまったから。
4、その他。
のいずれかだと思っております。勝手に。

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