04/13の日記

20:47
病み系
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小さな子供が泣いていた。


真っ暗なやみの中でその子がわんわん泣くものだからどうしたのどこか痛いのと尋ねてみてもわんわんわんわん泣くばかりで僕は泣かないで泣かないでとその子の頭を撫でるばかり。
何も知らないくせにぼくのことちっとも知りもしないくせにとほろりほろりと塩辛い水を零しながらその子が言うものだから君が僕に何も教えてくれないからだろうと怒ってみればしくしくと泣き出す始末。
泣かないで笑っておくれと頭を撫でる僕をまったく知らん顔で誰もわかってくれないと嘆く子供、ああ何も知らないのは知ってくれないのはどちらだというのか。
君が言ってくれたら聞いてあげるのに何も言わないままで知っておくれとは何とも傲慢だと諭してあげても子供はほろりほろりと止まぬ涙を擦り続けるああそんなに擦っては赤くなってしまうと腕を取ったら目玉が落ちた。

「何も知らないくせに」

ずるずると溶け出していく子供を呆然と眺めながらへたり込んでしまった僕は見開いた眼を瞑ることもできずにただただその光景を見守ることしかできないのだ。

「じゃあ、教えてくれればよかったんだよ。テッドのばかやろう」

しくしくと泣き出した子供の頭を撫でてくれる手はどこにもない。

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