04/03の日記

10:50
にょたガイ。デキてるジェイガイ。甘甘あまアまマまマママ魔(壊)
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「温厚でさっぱりした性格、世話焼きの姉御肌。細やかな心配りもできる上にその容姿」
「…突然何だよ、旦那」
「いえ、若干男勝りではありますが、貴女は素晴らしい女性ですから。言い寄る輩も多かったのではないかと」
「ああ……」

ガイはまだ訝しげにしながらも一応頷いた。いち使用人にしか過ぎないこの身を想ってくれた人は、何人かいた。身に余る光栄だ。

「だけど何の関係があるんだよ、アンタに」
「いえ…ちょっとした、嫉妬ですかねぇ?」
「嫉妬って…!」

みるみる赤く染まる彼女はとても愛らしい。微笑ましく、温かな感情を胸に感じながらも、自分の知らないバチカルにいた頃の彼女を想って憂える。
まさか自分がこんなにも振り回されるとは…人生とはわからないものだ。

「あっあのなぁ!でも、その…正式にお付き合いしたことは…その、なかったよ」
「何故です?その時に好きな方でもいらしたんですか?」
「いや…向こうが…何故かみんな、すぐに断ってくるんだ…好きだって言ってくれても、次の日にはなんか涙目で、相応しくないとかなんとか……」

だんだんフェードアウトしていく声に湿っぽいものが混じり、ジェイドは慌ててガイを抱きしめた。
しかし何とも不可解だ。こんなに愛らしいものが手中に入る可能性を自ら放棄するなど、自分には考えられない。
ちゃっかりガイを抱きしめ、意外と豊満な胸の感触をしっかり吟味しながらも、ジェイドは首を傾げていた。

理解できたのは次の日。



「ッ数が多い…!」
「強いわ、気をつけて!」

どうやら迂闊にも魔物の巣に足を踏み入れてしまったらしい。テリトリーを踏み荒らす敵に魔物は容赦しない。じりじりとその数を削っていくも、いつの間にか囲まれてしまった。
相手の数が多い時などは大きな譜術を用いるのが有効ではあるが、その分詠唱に時間がかかるのだ。囲まれてしまった現状ではそれも難しい。
しかしこのままでは先にこちらの体力が尽きてしまう。現に前衛の息が上がっている。時間も無い。

「皆さん、援護を!」

すぐに円陣が組まれ、その中心で詠唱を始める。なるべく速く、それでも正確に。

「しまっ…!」
「大佐!!」

はっと振り返れば、迫り来る魔物の牙。詠唱中のため、自分は酷く無防備だった。慌てて喉を守るのが精一杯で。

「ジェイド!!」

一瞬の閃光、唸るような咆哮。オレンジの上着を赤く染めながらも、彼女は笑って。


「大丈夫。アンタは俺が守るよ」





「…………些か男前すぎやしませんかねぇ」
「は?何が」

現在ナタリアに治療を受けている彼女はきょとんと瞬いた。天然か、あれが天然だというのか。

「まったく!ガイはすぐに無茶をなさるのですから!少しはご自愛なさいな」
「はは、悪いねナタリア。でも君を守れたんだから無茶した甲斐もあったってものさ」

にこりと微笑む彼女は一種の兵器なんじゃないかとすら思える。ナタリアはみるみる顔を赤くして、「知りません!」と走ってしまった。ああ、これが天然キザの恐ろしさか。彼女が女でよかったのか悪かったのか。

「おい、旦那?」
「何ですか」
「いや、機嫌悪そうだったから……庇ったの、怒ってんのか?」

少し躊躇いがちに口ごもりながら、おどおどと見上げてくる彼女はそりゃあもう可愛いったらないのだ。こんな可愛いくせに誰よりも男前だなんてタチが悪すぎる。

「……真面目に訓練しますかねぇ」

男としてのプライドがずたずたになろうとも、彼女を掴む手を離そうと思えないのだから、いい加減自分も末期なのかもしれない。
とりあえず目標としては腕相撲で彼女に勝つことだ。





へんじがない ただのしかばねのようだ

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