03/25の日記

01:48
光と隣り合わせの闇
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「うそ」

自分の息を呑む音がやたらはっきりと聞こえた。

「ごめんな、ルーク」

そう言って苦笑する姿は今までずっとずっと側にいた彼となんら変わること無いのに、彼がその身に纏っている衣類が全部ぜんぶ否定する。
嘘、なんで、どうして。疑問と否定の言葉を馬鹿みたいに繰り返すけど、無二の親友は悲しそうに笑うだけでこの場の空気を否定してくれない。嫌だ、嘘だろ。何だよ、お前いつもの服どうしたんだよ、ガイ。黒い服なんてお前ぜんっぜん似合わねぇよ。わけわかんねぇ。

「わけ、わかってんだろ。」

お前は意外と頭の回転いいから。
必死に縋って叫んでみたのにそんな顔で言われて、俺に頷く以外にどうしろっていうの。
ぼろぼろ涙が零れてきたけど、それを優しく拭ってくれる手はもう存在しない。あれは俺を殺す手だ。
今まで俺の頭を撫でて、優しく慰め、時には背中を押してくれた手、あったかい温度、今も残ってるのに。覚えてるのに。あんまりじゃないか。

「全部さぁ、捨てられたら良かったんだけど。優しい使用人のままでいられたら、良かったんだけどな。そうするには俺の荷物は重すぎた」

「ごめんな、俺はやっぱりガイラルディアなんだ」

涙で視界がぼやけてガイの顔なんて見えるはず無いけど、多分昔よく俺を見て浮かべてた笑顔、なんだと思う。ちょっと泣きそうな、怒ったような、複雑な笑顔。きっとガイ以外誰も真似できないような表情。
ああそうだった。光の後ろには陰ができるものなのに。俺はどうして今まで気付かなかったんだろう。ごめんな、きっと悪いのは全部俺なんだ。俺が何にも気付かない馬鹿だったから、ガイ、いっぱいいっぱい苦しんだんだろ?
本当は知ってたのに。お前の暗い部分気付いてたのに、知らん振りしてた。それのツケなのかなぁ。ずっとガイの優しさに甘えてたツケなのかなぁ。

「さようなら、ルーク」

さようならという言葉の持つ破壊力を俺は今日初めて知った。
俺はもう二度とさようならという言葉を使えないと思う。こんなに絶望的な言葉、知らなければ良かった。
涙は未だ流れ続ける。拭ってくれる人がいないから。








ルークん泣きすぎちゃいますか。
卑屈な主人公は泣いてなんぼだと思うの。周囲の人々が泣かせまくって慰めまくるんだ。飴と鞭。ガイ様はきっと飴と鞭の使い方をよく分かってると思う。若干飴の比率が高いような気もしないでもないけど、そこはほら、アッシュのほうに鞭使ってるから。

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