02/06の日記

00:39
忘れてた
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「あっあは、ははは!ひゃは、っははははぁ!!」
「………ッ」
「ひはは、あはぁ、ねぇえフリアエ!カイム!見て、見て!見て!!僕こんなに強くなったんだ!ねぇほらぁ!カイムにだって負けやしない、フリアエだって認めてくれる!あはははっすごい、すごいよね!!…ねぇカイム?どこ見てるの?僕を見てよ、ねぇ。カイム?ほら、見てよ、僕はこっちなんだよ?僕を見て、僕を見て!君より強くなった僕を見てよ!!」

イウヴァルトに剣を弾かれるが気にして入られなかった。あの、黒い竜が、今そこに!
首に衝撃を感じる。熱い熱い熱い!赤いドラゴンに噛み付いた黒い竜、またあの日のように、両親を噛み潰した時のように、また俺から奪っていくのか!また、また!!
憎悪。純然たる。今噛み千切らんとしている赤い竜は貴様が易々と傷つけて良い存在ではないのに、決して!
首が熱くてたまらない、これは痛みか。あのドラゴンが今感じている痛みか。

「カイム!カイム!!どうして僕を見ないの?!僕はこっちなのに!なんで?なんで!なんで!!強くなったんだ、僕!フリアエだって僕のこと強くなったって思うだろう?!フリアエ!カイム!なんで僕を見ないの!僕を、僕を!こっちを!」

剣をつかみなおしてドラゴンの元へ走る。黒い竜を殺したかったのか、それとも赤い竜を助けたかったのか。衝動的な感情だったため自分でもよく分からない。ただ、あの赤い竜が苦しむのが嫌だった。
イウヴァルトが何かを叫んでいる。赤い竜がこちらを見ている。知るものか。俺の視線は黒い竜だけに、憎い仇の下へ。
瞬間、吹き付けられる灼熱の吐息。視界は赤に覆われ、痛みを伴った熱を感じる。ドラゴンに庇われている状況であると理解したのは随分と後からだった。
ああ、熱い。熱すぎる。これは誰の痛みだ、俺の?それともドラゴンの?
辺りを見回せばイウヴァルトとドラゴン、フリアエもすでにいなくなっていた。
残されたのはイウヴァルトのハープと傷ついたドラゴン。残ったのは、残されたのはそれだけ。掴めなかった物は多すぎて数えることもしない。

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