12/05の日記

22:04
11/28の続き?
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「血の臭いがするから来てみれば…」

突如降ってきた声に振り返れば、すぐ後ろに幼い少年が立ち尽くしていた。気配を全く感じなかったことに驚きながらも少年を観察する。自分よりもよほど幼い子供とは言え、油断はできなかった。人間だって獣と変わらない。飢えていれば共食いだってする動物なのだ。
子供はこんな森の中だというのに不自然なほど整った身なりをしていた。爺様が着ているような古風な衣服に汚れはまったく見られなかったし、濡れたように光る黒髪に枯葉の一枚もついちゃいなかった。どこまかしこも綺麗すぎていっそ天からの使いかと見紛うに程に子供は美しい様ではあったけれども、ただ一つそれらを否定するのは、血に狂った熊の様な瞳の禍々しさにあった。
血が燻るような深い色の眼の奥で狂気がちかりと光ったような気がした。

「誰だ。お前」
「血に誘われた。ただの飢えた子供」
「ただの子供がそんなこと言うか。血に誘われるのは涎垂らした獣くらいだ」
「じゃあ涎垂らした獣」

会話する気があるのかないのか。子供はにこやかに淡々と答えるものの内容はかなり投げやりだ。子供の視線はずっと俺の食事跡に向けられている。

「お前の名は?」
「…テッド」
「そう」
「………人に聞いておいて自分は答えないのかよ」
「必要がないから」

失礼なガキだな、と一歩踏み出しかけて慌てて足を引く。いつの間にかペースを乱されていたことに焦りを感じながらも注意深く辺りを見回した。
何の気配もない。人、狼、熊、それらの気配がないのはいいとしても鳥の声すら聞こえないというのはどういうことだ。

「…ガキ、お前の名は」
「ヌシ」

ヌシ、という単語に怯む。村で崇めていた山の主がこんな遠く離れた森の中にいるわけもないが、ヌシという言葉に対する畏敬は心に根付いたままだ。
ただの子供だとは最初から思っていない。それでも相手の未知数の力を恐れた。ヌシ。

「……俺を食いに来たのか」
「まさか。こんな悪食食ったら腹壊しそうだ」

ケタケタ笑いながらさっきまでくってた俺の鍋をかき回す。ガラン、と骨が出てくる。見たところ腕の骨だった。

「鬼喰いの鬼だっているんだ、確かに人を喰らう人間もいて可笑しくはないなぁ」
「お前、鬼なのか?」
「さて」

人を喰ったような笑みを浮かべて子供は俺に背を向けた。隙だらけのはずなのに、彼に攻撃して生きていられると到底思えなかった。と、ふと疑問が過ぎる。

「お前、鬼なのか。鬼なのにヌシなのか」
「ここのヌシを喰ってしまえば俺がヌシになるのが道理だろう」
「……ヌシは、鬼じゃないだろうに」
「俺は悪食なんだ」

お前と同じくな。
笑って、子供は消えていた。鳥の声が聞こえる、木々のざわめきが戻ってくる。ただ、鍋にあった腕の骨だけは消えてしまって、戻ってこなかった。






やっぱり止めておけばよかった…
パラレルは何か異常に恥ずかしくなるから嫌いです。
悪食コンビは好きなんだけどな。

別にこの二人は一緒に旅をするわけじゃないです。テッドだけ旅を続けるの。ただ、たまに道中ヌシさんに会ったりしてなんでお前!?とか聞いたら「いや、飽きたから」と。ヌシって結構つまんないんだって。知るか。
そんでまたバイバイ。この二人は親友でも恋仲でも宿敵でもなんでもないです。補足しておくと、テッドはヌシへの贄だったんだけどじーさんが逃がしてくれてそのまま旅にーっちゅう流れ。んでもってテッドが捧げられるはずのヌシ様は実はすでにぼっ…ヌシさんが食べてたり。
名前出てないからヌシさんで通してみたけどバレバレだよね。わかるよね。
テッドの最後はぼ…ヌシさんに食われてオシマイ。テッドが鬼になるっぽいけどそこらの設定はメモってなかった。私の馬鹿め。

んー…幻水でパラレってもあんまりテンションあがらんなぁ…(酷)

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