連載御題質問

さようなら愛しい人
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■後悔はしない


蛮ちゃんは基本的にスキンシップが好きじゃないらしい。

「コラ、くっつくな。」

今だって蛮ちゃんに触りたいなぁーって思ったからただ背中に触れただけなのにこの言われよう…。

「…ごめん。」

ただ触っただけなのに…。

「ったく…無闇やたらとくっつくなっていつも言ってるだろ。」

結構の割合で、抱きついたりした時、蛮ちゃんは嫌そうな顔をする。

「そうだっけ?」

それでもそれに気付いていないように事あるごとに蛮ちゃんに抱きつくのは俺が蛮ちゃんを好きだから。

「…お前な…。」

もちろん相棒としての好きも含まれているけど、俺の好きの大半はそれじゃない。



俺は蛮ちゃんを愛してしまった。



これが“普通”じゃないのは無限城育ちの俺でも分かる。

“普通”は“男”と“女”が愛し合って恋人同士になる。それが“世界の常識”。

でも“常識”が“非常識”だった無限城出身の俺からしたらそんな“世界の常識”なんてどうでもいい。

「…蛮ちゃんがよくヘブンさんの胸揉むのと同じだよ。」

俺には蛮ちゃんが“世界の中心”で“世界”そのものなんだ。

「あ?どんな屁理屈だ?」

だから他人どう言われようとどうでもいい。

「蛮ちゃんは胸が好きだから揉むんでしょ?」

ただ蛮ちゃんの傍にいられるだけでいい。

「それと同じ。俺は蛮ちゃんが好きだから触りたい。」
「お前なに言って…。」

そう…。傍にいられるだけでいいって思った。その為にもこの気持ちは絶対に言わないでおこうって決めた…。
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