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月の夜
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「あッ…」

その声に気付いたのは夜中の1時を廻ったぐらいだろうか…

「…銀次…?」

起きて隣を見ると月夜の光に照らされている銀次が見える…

「…蛮ちゃッ…」

…が銀次の様子がいつもと違う…目には涙を浮かべて息遣いも荒い

「どうした?眠れないのか?」

月光に照らされている為か銀次の髪は反射してとても綺麗だ。その髪を梳いてやると銀次が辛そうに呟いた

「…しぃ…の…」
「ん?なんだって?」

口の動きを見るが良く解らなくて耳を銀次の近くに寄せる

「苦し…いの…頭が…ボーッ…て…」

それを聞いて銀次の汗ばんだ額に手を伸ばしてみる

「…銀次…おまッ…!」

額の熱は平熱より少し…否かなり高い…

「馬鹿!いつからだ!?」
「…3日…ぐら…い前から…迷惑…かけ…ちゃう…から…黙…って…たの…」

そういえば3日前から妙に銀次の食欲が落ちていた

「くそっ!!」

急いで愛車のエンジンを入れる…だが近くには病院はない…あるとしても此処からは一時間は掛かる。それまで銀次が保つかどうか

「大…丈夫…だよ…へ‥きだか…ら…」

考え込んでいると銀次が大丈夫だと隣から静かに言う…だがその姿はとても苦しそうで…多分銀次は普通に笑いかけているつもりなのだろうが、今の銀次は涙目で口の端を無理に上げて荒い息遣いでようやく言葉を発していた…そんな銀次を大丈夫だと判断出来るわけがない

「波児んトコ行くぞ!」

今は考えている暇はない…早く銀次をまともなトコに横にさせてやるのが先決だと思い、急いでスバルをHONKY TONKに走らせた…
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