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ある日の出来事
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『お前、名前は?』
「銀次…天野銀次…」

幼い日…雷鳴が鳴り響く春の日だった…

『俺と一緒に行くか?』

そう言ってくれた声は優しくて…自然と足がその人の方へ向いていった

「うん……おじさんの…な…まえ…は?」

恐る恐る聞く俺にその人は答えた

『俺か?俺は天子峰 猛だ。よろしくな銀次。それと俺はまだお兄さんだからな?』

冗談めいた言葉の中に自分の名を読んでくれた…捨てられてから誰からも呼ばれなかった自分の名…一

「…天子峰」
『ん?何だ?』

何故だか解らないけど心があったかくなって…自然に呼んでたんだ

「えへへ…なんでもない」
『クスッ…やっぱりガキは笑ってなくちゃな』

いつぶりに笑ったんだろ?ずっと笑ってなかった気がする…でもこの優しい声と温かい腕に包まれたら笑わないなんて無理だよ…

「ねぇ…天子峰……」
『ん?』
「ずっと……いっしょに…いて…?」

幼いながらも素直な気持ちを伝えた…涙を溜めた眼が天子峰さんを見ていた

『あぁ…一緒に居てやるよ。お前が望むなら』
「…ありがとう…」


一一…そう言ってくれたのに…

結局あなたは…一一



「一一…銀次?」

蛮ちゃんに声を掛けられ眼を覚ました…
昔の夢…捨てられてから初めて名を呼んでくれて…抱き締めてくれた人の夢…そして…

…一番信じてたのに裏切った人の夢…

「大丈夫か?」

心配してくれる蛮ちゃんに俺は笑顔で返す

「何でもないよ」

口は悪くても優しい貴方の事だもの…きっと俺がこう言わないとずっと心配するに決まってる

「ねぇ蛮ちゃん?」
「ん?」
「俺が居なくなったらどうする?」

俺は多分…ううん絶対蛮ちゃんから離れられない…でもこの質問だけはしときたかったんだ

「…そうだなぁ」

どんな答えが来ても構わない。そのまま解散するって言われても仕方がないと思う。

だってそれが貴方の答えだから…

「お前の居る場所は何処に居たって解るからな。」
「…?」

言葉の意味が掴めないんですが…?

「俺様の許可なしでどっか行っても俺が直々に迎えに行ってやるよ」
「…」

一…天子峰さん…俺…一

「ありがと蛮ちゃん…」

一…もう一回人を信じてみたいんだ…一

「Get Backersの“s”は?」
「一人じゃないって意味!!」

「「俺らは無敵の奪還屋!!Get Backers!」」

それは春雷の鳴る春の出来事…

END
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