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□大切な人だから傍に居る
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「蛮ちゃんに逢いたいなぁ…。」
今、銀次と蛮は別々に暮らしている。
ソレというのも全て天子峰と来栖の親馬鹿コンビの所為である。
一一1ヵ月前一一
いつものようにGet Backersの二人が公園の駐車場に停めてあるてんとう虫の中で仲良く昼寝している時だった…。
「銀次!起きろ銀次!!」
外でどんどんと音を立てて自分の名前を呼ぶ自分の親代わりだった人…天子峰に気付いて銀次が眼を覚ました。
「ふぁ…?…天子峰さん?」
「良いから出てこい銀次!!」
すごい剣幕で天子峰が言うものだから銀次は怖くなりさっさと車から出ることにした、だがソレを蛮に背後から抱きつかれ邪魔されてしまった。
「出ていくこたぁねぇんだよ…」
「でも蛮ちゃぁ〜ん」
外をみたら今までに見た事もないような凄い顔で銀次が出てくるのを天子峰が待っているのにソレを無視してこのまま車の中に居たら天子峰が何をするか…。
只でさえ蛮が銀次に抱きついた時から凄い顔がもっと凄い事になっているのに…。
「俺の言う事が聞けねぇのか?」
「………」
多分此処で出ていけば天子峰の方は丸く収まる、が蛮の方は必ず怒るに決まっている…つまりどちらを選んでも銀次には分が悪い…。
銀次は考えてみる。
天子峰はどうにかなるとして蛮の怒りはなかなか収まらないし口も聞いてくれなくなるだろう…此処は…。
(蛮ちゃんの言う事、聞いておくのが利口だよね…?)
しかしこの時の銀次の選択肢によって二人の運命は大きく変わってしまった…。
「銀次…その男の言う事は聞けても俺の言う事は聞けないのか…?」
「天子峰さん…どうしたの?」
いつもと違う天子峰の様子に銀次は首を傾げた。
「これもお前の所為か…美堂…」
「はぁ?」
蛮の顔も訳の解らない事を言われた為か段々表情が怖くなってきた。
「…天子峰さん?」
「貴様が銀次をたぶらかした事は解っているんだ!!」
「「はぁっ…!?」」
天子峰の言葉に二人とも目を見開く。
それはそうだ。蛮にも銀次にもさっぱり意味がわからないのだから。
いきなり来て、たぶらかしたと言われても蛮にも銀次にも全く身に覚えがなかった。