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□ヤキモチ
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蛮ちゃんが格好良いのは知ってる。いつも隣にいるからよく知ってる。だから女の人が蛮ちゃんに近づくのも解る。よく解ってる。それでも…
「蛮くんったら〜!」
それでも気に入らないものは気に入らない。
「……………」
今回の奪還依頼は、ある小企業の奥さんの大切な指輪を、どっかのお金持ちのマダムが借金のカタに奪ったから奪り還すというもの。そう…今回の依頼は内容からして危険はないから簡単なものだ。
「綺麗な脚だしてるほうがいけねぇんだろ?」
お金持ちマダムがよく行くホストクラブに潜入するまでは良かった。でもそこでまさかの蛮ちゃんのこんな姿を目の当たりにするなんて思わなかった。
「も〜蛮くんのえっち〜!」
元々格好良いのにスーツなんて着るから余計に格好良いし、髪型もいつものウニじゃなくて下ろしてて格好良いし、スーツを少し着崩してるから少し胸元が開いてて変に色気でてるし…。
そんな蛮ちゃんに惹かれるなっていう方がおかしいとは思うけど…
「近づきすぎだし…」
今、蛮ちゃんが接客しているのは目当てのお金持ちマダム。それはいい。その二人の距離が問題なんだ。
今、二人がどんな状態かって?…蛮ちゃんの足の上にマダムがお姫様だっこからそのまま座ったような格好で乗っかってて、蛮ちゃんがそのマダムの足をイヤらしく触ってるのが今の現状です。ハッキリ言って面白くない。
「…………」
なんでそんなに密着してんの?
なんでそんな優しい顔するの?
なんでそんな優しい目で見るの?
なんでこんな気持ちになるの俺?
「…馬鹿みたい…」
こんな気持ちになるなんて自分はなんて醜いんだろう…。
仕事だから、と言い聞かせても蛮ちゃんのあんな顔見たら、仕事だから仕方ない。なんて割りきれるわけがない。