へんなもの書店

□▽心の木〜自然が教えてくれたもの
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〜第二章〜
大木との語り(思い出す)


私は話した。
「ねぇ、大木私ね…人と喋ることはあまり好きじゃないんだけれど、こうしてあなたにもたれかかっているとね、何でも話せそうよ。まるで、なかのいい友達みたいに……」

っと、私は語りかけてみた。

すると、大木は何かを言っているかのようにさわさわと枝を揺らした。

私はまた語りかけてみた。

「あ〜あ…学校ね、中一の時に嫌なことがあって途中から行けなくなっちゃったの…」

「え?どうしてかって友達らしい人がなかなか作れなくてね…それにクラスの男子にも少しきついこと言われちゃって……。意気地なしよね私…………。」

「それからね、色んな人とも会うのが恐くなっちゃって………。」

私はそういうと下をむいた。

すると今度は、そよそよと葉を揺らした。


再び語りかけてみる。

「でも今は、中学三年生だもの少しは成長したんだよ学校の行事とかには少しだけしか出れないけれど、学校には毎日行けるようになったし、クラスにだって少し…。学校でクラスの人がね、色々と話かけてきてくれたり、支えてくれたりして……感謝してるんだよ。だから…だから“ありがとう”って言いたい…。」

少し大木は黙っていた。
そしてしばらくすると、一枚の葉を落とした。
葉はゆっくりと太陽の光を浴びながら私の方へひらひらと舞い落ちてきた。

その時私は、この一枚の葉がこの大木からの手紙のように思えた。
木はしゃべらないけれど、気持ちが伝わってきたような気がする。あたたかく優しい気持ちが…。
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