弐.孤独コード

□無色ナイフ
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痛い
苦しい
私だって
生きてるんだから。

どうせなら
遠くへ投げ捨てて
二度と戻って来れぬようにと。


ナイフは未だに未完成。

触れたくない癖に
触れようとして、
分かりたくない癖に
知ろうとして、
見たくもない癖に
見て、
放つ言葉は
「キモチワルイ」

そんなの勝手な話。
偽善者ぶって
下手な芝居もお見通し。
殺す勇気もない癖に
中途半端な殺人犯。
突き刺すナイフは
鋭く脆い。

馬鹿げた優しさ
もういらない。

触れなきゃ分からない
見なきゃ気付けない
私の殺意。
突き刺すナイフに
色は無い。

捕らえて
採取
観察
調査。

研究結果は
「サワルナ危険」

そんなの酷い話。
私の痛み
どうしてくれる。

どうせなら捨てて
戻って来れぬ
海の底へと。

痛い
苦しい
まだ生きてるんだから。
勝手に殺さないで。

互いのナイフが完成するまでは。




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