死神の手帳(デスノート)
□黒き死神
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ある日、私の家に死神がやってきた。それは何処か変な感じだったが、私はすぐそれを受け入れた。私の理想のために……。
「……お前は?」
「殺したい奴はいないか?」
言われると沢山いた、この地位に上り詰めるために色々やってきた。この手を汚したことも沢山ある。私は長い前髪を掻き揚げる。
私を見つめ、やってきた死神はにやりと笑う。
「いるようだな」
「ああ」
「なら……これを使うといい」
黒いノートがその手の中にある。私はそれを見つめる。デスノート、死のノート、というタイトルが書いてある。
「ふうん」
手にとって見る。馬鹿どもがこの世界には多い。私の【仲間】達もそんな奴らばかりだ。
マンションの最上階、私の部屋にやってきた死神。
まるで陳腐な劇のようだが、これは現実だった。
「やってやろう」
嫌いな奴ら、究極に嫌いな【あいつ】は最期に殺してやろう。
この胸にある想いをあいつは知らない。そしてこの地位に上り詰めるために私がやってきたことも。
「……母親さえもこの手にかけたのだからな」
お前なんかいらない! という母親の言葉を思い出す。あっけなく死んだ、階段から突き落としたあの馬鹿な女。
お前なんかいらない、というのなら私がお前を殺してやろうさ、と思ったのさ。
「お前の名は?」
「レム」
「私は奈南川という」
契約成立、私は愛しい【あいつ】の少し気弱げな顔を思い出す。
これから沢山遊んでやる、このノートで。
私は鉛筆を手に取る。そして嫌いな奴らの名前を書いていく。
私の部屋にある巨大なスクリーンの前で。
殺してやる、気に入らない奴ら全部。殺してやる。
私は同じ地位にある他の奴らの顔を思い出しながら、にやりと笑う。
背後にはレム、このノートを私にくれた死神がいる。
私はにやり、とレムに笑いかけた。
そして……【私が死んでほしいやつら】の名をノートに書きつづけた。