幻想水滸伝2・TK

□☆ラジヲ体操[1P/R無]
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正午を過ぎた頃、慌ただしく部屋の扉が開かれた。
視線を向けるとそこには、想像した通りの"今起きました"と言わんばかりのマイクロトフが仁王立ちしていた。衣服は騎士らしくしっかりと着ているのに対し、鏡を見なかったのか、寝癖はそのままで。
そんなマイクロトフにわざとらしく爽やかな笑顔を向ける。


「そんなに慌ててどうした?マイクロトフ」

「っ…何故起こしてくれなかった!俺とした事が…寝過ごしてしまったではないか!!」


昨晩、一緒になり遅くまで鍛錬をしていたマイクロトフを起こす事が出来なかったのだ…と言うより、この反応を見たかっただけと言うか。


「ふふっ…たまにはいいだろう?」

「いや、良くない!ラジオ体操は毎日やるからこそ意味があるのではないか!」

「悪かったよ、あまりにも可愛い寝顔だったから起こせなかったんだ」


口元に笑みを浮かべいつものように言葉を返せばマイクロトフは言葉を失い、みるみるうちに顔が朱に染まっていく。


「な…」


机に微か体重を預け凭れると再度手招きをし、素直に近付くマイクロトフを引き寄せ軽く口付けた。

その、唐突な出来事に双眸を細めたマイクロトフの視線が真っ直ぐに向けられて、愛しげに名前を囁く何時もと違った甘い声が擽ったい。
すっかり目的を忘れたマイクロトフが表情を緩め、濃厚なキスを仕掛けた刹那。


《トントン》


少し遠慮がちなノック音が響いて。


「…誰です?」

『入ってもいいか?』


焦るマイクの手が微か乱れた衣服を直し、ドアに背を向ける。
顔が赤い。
そんなマイクに湧き上がる笑いを堪えながらドアに向かって少し声を上げ答えた。


「どうぞ、入っていいですよ」


遠慮がちにそっと入って来たのはフリックで、後ろを向いたままのマイクロトフへとチラと投げた視線をすぐに外し、その視線を流すように己に向け少し困ったような表情で苦笑するフリックがまた笑いを誘い、堪え切れず小さな笑みを漏らした。



「邪魔…したか…?」

「いえ、構いませんよ?」

「あー…シュウが2人に話があるそうだ、今から来いってよ。じゃあな、伝えたからな」


早口で要件だけ伝えればそのまま早足で部屋を出て行く。
扉が閉まるのを確認し、笑みを隠さず振り返った。


「…だ、そうだ、行けるか?」


「あ、あぁ…」


赤く染まったマイクロトフの頬に掌を添え、軽く口付けた。


「続きは夜、な」

「カミュー!からかうな…」

「からかってなどないさ…行くぞ」


己の言葉を振り払うように頭を振るマイクロトフが愛しくて目を細める。
それでもなかなか動こうとしないマイクロトフを促すように腕を引き、そのまま部屋を後にした。




END
 

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