別天地

□第三章
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「やあ、お帰り」
 気が付くと青龍は、先程見た白と黒の世界にいた。青龍に声を掛けたのは勿論この世界にいる男。
「俺は何故またここにいるんだ?」
 青龍の問いに、男はあっさりと答えた。

「僕が、君を呼んだんだ」

 どうやって、と尋ねたが、返事は返ってこなかった。方法は気になるが、早く帰りたい、という気持ちもあった。
「で、用件は何だ」
「君に渡す物があったのを思い出してね」
 そう云って男は、一冊の分厚い本を取り出した。
「これは力の書。これを持つ者は無限の力を得ることができる」
「さっきみたいにか?」
 青龍は、獣を倒した時の事を思い出した。
「あれは僕が、君の躰を借りてやっただけ。君の力は、あんなものでは無いよ」
 その力を引き出すのが、この本だと男は云った。
「俺に、くれるのか?」
「この本は君にあげるのでは無い」
 男は青龍の目を見て微笑んだ。
「……返すんだよ。これは元々君の物だから。でも、それには条件がある」
 青龍は息を呑んだ。
「この書は、人の運命を狂わせる。もし、君が力を求めるなら、その覚悟を持たなければならない」
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