短編なぺーじ

□嵐の子
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それから、どれくらいたったのだろう。
だんだんと空が白んできたのを見て、ぼくはようやく正気に戻った。
「そうだ、ぼくは帰らなきゃならないんだ!!」
ハッとして体を起こした瞬間・・・。
そこは、家の近くの海岸だった。
砂浜に打ち上げられたイカダの上で、ぼくは眠っていた。
台風は、行ってしまっていた。
さっきまでからは想像できないほど、空は真っ青に晴れ上がり、一つの雲も見あたらなかった。
太陽が、うれしそうにぼくのことを照らしている。
ぼくは海をながめた。
あの少年は結局何者だったんだろう・・・。
考えているうちに、ぼくは、あることを思い出した。
台風がどんなに荒れ狂っていても、その中心部分だけは、水を打ったように静かなんだという・・・。
ぼくは冷え切った体をさすりながら、家に帰った。
やっと腫れのひいてきた左ほおを、またとおちゃんにぶん殴られた。
台風は、北の方に向かっていったと天気予報が言っていた。
たぶん、その目で北のお星様を見に行くんだろう。
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